第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

肝臓-EOB

肝臓-EOB1

Thu. Sep 18, 2014 9:30 AM - 10:20 AM 第3会場 (3F 源氏の間南)

座長:磯田裕義(京都大学大学院医学研究科 放射線医学講座)

[O-1-036] Gd-EOB-DTPA造影MRIを用いたde novo発癌関連多血性肝細胞癌の臨床およびMRI所見の評価

玉田勉, 山本亮, 野田靖文, 八十川和哉, 伊東克能 (川崎医科大学 放射線科(画像診断1))

【目的】肝細胞癌(HCC)は、慢性肝炎や肝硬変を背景としてde novoと多段階発育による発癌経路が提唱されている。しかしながらde novo発癌の頻度や臨床的な特徴は明らかにされていない。そこ今回我々は、慢性肝疾患患者の連続したGd-EOB-DTPA(EOB)造影MRIを用いて多段階発育を示さないde novo発癌関連HCCの臨床的およびMRI所見を明らかにする。【方法】対象は、慢性肝疾患を伴った240症例、1007検査の中で、肝細胞性結節のない初回検査からの経過観察によって新たに出現した多血性HCCを有した16症例、17結節であった。1.5Tまたは3T(GE社製または東芝社製)、多チャンネルphased-array coilを使用し、脂肪抑制併用3DT1強調GRE法(LAVAまたはQuick 3D)を造影前、EOB(0.025mmol/kg)投与後、血管相および肝細胞相(20分)で呼吸停止下に撮像した。検討項目は、年齢、慢性肝疾患の原因、肝障害度、HCCの治療歴、腫瘍サイズ、多血性HCC検出までの期間、多血性HCC出現前の乏血性肝細胞相低信号結節(high risk nodule)の有無、腫瘍内の脂肪成分の有無および病変の拡散強調像、T2強調像および肝細胞相の信号強度とした。【成績】多血性HCC17病変の中で、12病変(71%)は多血性HCC出現までにhigh risk noduleを伴わないde novo発癌群、5病変(29%)病変はhigh risk noduleを伴った多段階発癌群であった。de novo発癌群におけるHCCの治療歴の頻度(92%)は、多段階発癌群(20%)に比して有意に高かった(P=0.013)。また多血性HCC出現までの期間は、de novo発癌群(中央値194日)は多段階発癌群(中央値454日)より短かった(P=0.058)。さらにde novo発癌群における脂肪成分を伴った病変の頻度(0%)は、多段階発癌群(40%)に比して低かった(P=0.074)。その他の検討因子は両群間で有意な差はなかった。【結論】de novo発癌関連多血性HCCは、多段階発癌によるそれに比して、急速な発育、HCCの治療歴を有するおよび脂肪のない病変を特徴とする。