第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

肝臓-EOB基礎

肝臓-EOB基礎

Thu. Sep 18, 2014 10:50 AM - 11:30 AM 第3会場 (3F 源氏の間南)

座長:金東石(大阪大学大学院医学研究科 放射線医学教室)

[O-1-044] Gd-EOB-DTPA造影MRIの造影効果評価法の検討 -肝臓・脾臓信号強度比と肝臓・血管信号強度比の対比-

小林聡, 蒲田敏文, 池野宏, 南哲弥, 小坂一斗, 北尾梓, 米田憲秀, 吉田耕太郎, 香田渉, 松井修 (金沢大学大学院 経血管診療学)

【目的】EOB造影MRIの造影効果の評価には肝臓と脾臓の信号強度比(QLSC)が使用されてきた。この方法の欠点は肝硬変で時に見られる脾摘例では測定が困難なことである。脾臓ではなく肝実質に隣接する太い肝内血管をリファレンスとすることで容易に肝実質信号上昇の視覚的評価が可能となることから今回我々は肝部下大静脈にROIを設定し、近接する肝実質との信号比(Liver/vessel Ratio, LVR)を求め、従来使用されているQLSCとの相関について検討した。【方法】対象は種々の理由で造影剤投与3分後の後期相(late phase,LP)、20分後の肝細胞相(hepatobiliary phase, HBP)に加え、平均88分後に超遅延相(super-delayed phase, SDP)の撮像を行ったEOB造影MRI施行122例のうち摘脾例、検査1ヶ月以内の肝予備能(Child-Pugh score, CP)評価不能例を除く85例。肝実質の信号強度を脾臓の信号強度で除したものをQLSC、肝実質の信号強度を肝部下大静脈の信号強度で除したものをLVRとした。両者の相関係数および肝予備能別の相関係数をLP、HBP、SDPのそれぞれで算出した。【成績】QLSC-LP, QLSC-HBP, QLSC-SDPは0.96±0.23, 1.37±0.44, 1.73±0.58。LVR-LP, LVR-HBP, LVR-SDPは0.81±0.26, 1.12±0.47, 1.41±0.56。QLSCとLVRの相関係数はLP 0.75 (p<.0001), HBP 0.88 (p<.0001), SDP 0.80 (p<.0001)であった。肝予備能別の検討ではCP-A (n=42)でQLSC-LP, QLSC-HBP, QLSC-SDPは0.99±0.24, 1.54±0.51, 1.97±0.63。LVR-LP, LVR-HBP, LVR-SDPは0.86±0.30, 1.31±0.55, 1.62±0.63。QLSCとLVRの相関係数はLP 0.78 (p<.0001), HBP 0.91 (p<.0001), SDP 0.83 (p<.0001)であった。CP-B (n=41)ではQLSC-LP, QLSC-HBP, QLSC-SDPは0.92±0.22, 1.22±0.29, 1.51±0.42。LVR-LP, LVR-HBP, LVR-SDPは0.77±0.22, 0.94±0.29, 1.22±0.38。QLSCとLVRの相関係数はLP 0.70 (p<.0001), HBP 0.67 (p<.0001), SDP 0.60 (p<.0001)であった。【結論】LVRはQLSCと強い有意相関を呈した。しかし肝予備能別の検討ではCP-B群では相関は弱めであり、さらなる検討が必要と考えられた。