第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

肝臓-IVIM

肝臓-IVIM

Thu. Sep 18, 2014 1:30 PM - 2:10 PM 第3会場 (3F 源氏の間南)

座長:本杉宇太郎(ウィスコンシン大学 放射線科)

[O-1-053] Intravoxel Incoherent Motion ( IVIM ) - DWIによる肝の潅流評価 : ワインは肝血流を増加させるか?

佐藤祐一1, 廣瀬準司1, 池谷直樹1, 西村泰紀1, 雨宮良治1, 本杉宇太郎2,3 (1.山梨県厚生連健康管理センター 放射線科, 2.山梨大学医学部 放射線科, 3.Department of Radiology,University of Wisconsin,School of Medicine and Public Health)

【背景・目的】ヒトを含む動物において摂食により肝への門脈血流は増加することが知られている.またアルコール摂取により肝の酸素消費量が増加し肝血流が増加することも知られている.一般に,我々は摂食時にアルコールを摂取することもあるが,アルコールと食事の同時摂取が,アルコール抜きの食事摂取に比べて肝血流量にどう影響するかは明らかでない.Phase-contrast MRIでは門脈血流量の定量評価が可能である.また,Intravoxel incoherent motion (IVIM) モデルを用いることで,拡散強調像から肝内の潅流量をある程度定量的に評価することができる.今回我々は食事の際のワイン摂取が門脈血流量および肝内の潅流量にどのような影響を与えるかをcrossover study にて検討した.
【方法】対象は4名の健常ボランティア.次の撮像プロトコールを1週間の間隔をあけてすべてのボランティアに2回施行した;食事前の門脈血流量をPhase-contrast MRIで測定,多b値拡散強調像による肝IVIM測定.食事およびグレープジュースを摂取.30分後に同じ撮像を行う.2回目のプロトコールでは摂食時にグレープジュースの代わりにワインを摂取させた.摂取前後の肝右葉にROIを置き,測定した信号値を用いてADC ・D ・D*およびperfusion fractionを求めた.b値は11種類( 0 / 10 / 20 / 30 / 40 / 50 / 70 / 100 / 200 / 400 / 800 ).2D-PC法にて門脈の血流速度と血流量も測定した.使用機器はPhilips achieva R 2.6 Cardiac Coil 32chを用いた.
【結果】PC法で測定した門脈の血流速度と血流量(中央値;範囲)は、グレープジュース摂取時(血流速度15.5cm/s, 11.7─18.3; 血流量 3.8 mL/s, 3.3─6.6)に比べ、ワイン摂取時 (22.8cm/s, 15.9─27.6; 4.6 mL/s, 4.4─7.2)では有意に高かった.またD*値もワイン摂取時(143mm2/s, 104─174)にはグレープジュース摂取時(98mm2/s, 60─116)に比べ平均で1.60倍高い値を示した.
【結語】食事の際にワインを摂取すると、門脈の血流速度と血流量は増加しD*の上昇がみられる.アルコールにより摂食時の肝代謝はさらに亢進する可能性が示唆された.