第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

肝臓-拡散

肝臓-拡散

Thu. Sep 18, 2014 2:10 PM - 3:00 PM 第3会場 (3F 源氏の間南)

座長:兼松雅之(岐阜大学医学部附属病院 放射線科)

[O-1-057] MRの定量的評価による肝細胞癌の分化度の推定: 拡散強調画像、T2強調画像、EOB肝細胞相との比較

岩佐嘉洋1, 北詰良雄1, 伴大輔2, 田邉稔2, 大橋勇1 (1.東京医科歯科大学医学部附属病院 放射線診断科, 2.東京医科歯科大学医学部附属病院 肝胆膵外科)

【背景と目的】拡散強調画像(DWI)、T2強調画像(T2WI)およびEOB肝細胞相の信号強度は、肝細胞癌の分化度を反映することが知られているが、どの撮像法が分化度の推定に最も有用かは十分には分かっていない。本研究の目的は、肝細胞癌のMR画像による定量評価とその分化度と対比して、各撮像間の比較を行うこと。【対象および方法】対象は、2011年4月から2013年8月の間に、当院で術前のEOB-MRIと肝切除術が施行され、肝細胞癌と診断された39患者、42結節。1.5 T MR装置(Signa HDxt、GE)を使用した。各病変について、DWI(b-0、1500)よりADC、DWI(b-1500)、T2WI(2D-FSEおよび3D-FSE-Cube)よりそれぞれContrast-to-noise ratio (CNR)、EOB肝細胞相LAVAよりLesion-to-liver ratio (LLR)を測定。各結節の分化度と対比し、その相関についてはSpearmanの順位相関係数rs、独立多群の検定はKruskal Wallis、多重比較はScheffe法を用いて判定した。更に、低分化の検出能についてROC解析を行い、各撮像間の曲面下面積(AUC)の比較をブートストラップ法で行った。P<0.05を有意差ありとした。【結果】 DWIのCNRは肝細胞癌の分化度と高い正の相関を示し(rs=0.78, p<0.0001)、多重比較においてすべての分化度間で有意差を認めた。ADC、2D-FSEおよび3D-FSE-CubeのCNR、肝細胞相LAVAのLLRのrsは、-0.32(p=0.04)、0.38(p=0.01)、0.61(p<0.0001)、-0.48(p=0.001)だった。AUCは、DWIのCNRが最も大きく(96.25%)、3D-FSE-CubeのCNR(79.1%)および、肝細胞相LAVA LLR(75%)との間にそれぞれ有意差を認めた(p=0.01、p=0.006)。【結論】DWIのコントラストは、肝細胞癌の分化度の推定に最も有用であると考えられた。