第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

肝臓-MRA

肝臓-MRA

Thu. Sep 18, 2014 3:00 PM - 3:30 PM 第3会場 (3F 源氏の間南)

座長:森田康祐(熊本大学医学部附属病院 中央放射線部)

[O-1-060] 3T装置を用いたTime-SLIP 法肝動脈MRA:造影CTAとの比較

吉川武1, 京谷勉輔2, 大野良治1, 佐藤さおり3, 葛西由守3, 神山久信4, 祖父江慶太郎4, 西尾瑞穂1, 杉村和朗4 (1.神戸大学大学院医学研究科 先端生体医用画像研究センター, 2.神戸大学医学部附属病院 放射線部, 3.東芝メディカルシステムズ, 4.神戸大学大学院医学研究科 内科系講座放射線医学分野)

【目的】肝動脈解剖の評価は、様々な腹部疾患で有効かつ安全な治療に不可欠である。造影CTAが一般的に使用されているが、造影剤使用や被曝などの問題があり描出不良例も経験される。近年、非造影MRAが開発・臨床応用が目覚ましい。Time-spacial labeling inversion pulse (Time-SLIP) 法は目的臓器の動脈を選択的描出可能で、高磁場化によるlabeling性能の向上と合わせて肝動脈においても有用性が期待される。我々は3T装置でのTime-SLIP法MRAの肝動脈描出能を造影CTAと比較し、描出不良要因を検討したので報告する。【方法】対象は肝胆膵疾患疑いにて腹部MRIと造影CTAが施行された102例(男61、女41、平均63.4才)である。東芝社製Titan 3Tとselective IR pulse併用3D-true SSFP法(TR/TE/FA=4.8/2.4/90-110, matrix: 256×256(ZIP), thk: 2.0mm, 34slice, NEX: 1, resp. trigger, scan time: 5-7min, BBTI: 1500, STIR, TI: 230)を用いた。視覚的に動脈描出範囲を4段階、左右肝動脈・A4の描出能を4段階で評価し、CTAと比較した。肝動脈の描出範囲3以上を臨床使用可能とした。様々な描出不良因子の影響を検討した。分岐様式をMichels classificationで分類した。動脈encasementを記録した。【結果】平均描出範囲、右・左肝動脈・A4の描出能は、MRAで3.6, 3.5, 3.4, 2.5、CTAで3.9, 3.9, 3.7, 3.0であった。MRAは97例 (95.1%)で臨床使用可能で、 66例(64.7%)で良好であった。MRA画質不良の5例を除きMRAとCTAで分岐様式は一致した。描出不良に有意に関連する因子は、高齢、不規則呼吸、肝動脈狭小化/狭窄、動脈硬化性変化、心拡大であった。CTAと比較しMRAは3例で優れ29例で劣った。MRAが劣った群では不規則呼吸が9例、肝動脈狭小化/狭窄が8例、動脈硬化性変化が6例、心拡大が10例にみられた。胆管癌2例、膵癌9例、HCC1例でencasementを認め、CTAと比べMRAで強調された。【結論】3T装置での非造影MRAにより大部分の臨床例で治療前に必要な肝動脈解剖を把握可能と考えられた。