[O-1-095] 空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIを用いた腎機能評価:腎皮髄境界明瞭化についての検討
【目的】腎機能低下症例において腎皮質が有意に萎縮することが言われているが、従来の撮像法では腎皮髄境界が不明瞭化し、皮質厚測定が困難ことが多い。今回我々は空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIと従来の撮像法であるT1強調画像(in phase)との腎皮髄境界明瞭化に対する比較検討を行った。【対象】空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIが施行され、慢性肝疾患を持たない患者65症例を対象とした。【方法】空間選択的IR pulseとSSFP法を併用した非造影MRIでinversion times (TIs)を700-1500msec の間で100msecずつ変化させ撮像を行い、各TIでの腎皮質・髄質の信号比(SI cortex/SI medulla)を算出。その最大値を最適TIとした。症例をeGFRに基づいて3群に分類(eGFR:≦59,=60-89,≧90)し、群間における最適TIとT1強調画像(in phase)の腎皮質・髄質の信号比を比較し、4point scaleでの視覚的評価も行った。また、空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIにおける最適TIにて腎皮質厚を測定し、それぞれのeGFRとの相関を3群間比較も含め、検討を行った。【結果】eGFRの平均は79.7 mL/min/1.73 m2(36.1-125.9)。3群間での腎皮質・髄質の信号比はT1強調画像(in phase)に比し空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIにおいて有意に高値であった(p< 0.001, p< 0.001, p= 0.001)。視覚評価においても空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIにおいて良好であった(p< 0.001, p< 0.001, p= 0.001,)。また、腎皮質厚の平均は4.7 mm (1.9-7.8)であり、eGFRとの間に有意な相関を認めた(p<0.01)。【考察】空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIは、従来の撮像法では腎皮質測定が困難な腎機能低下症例においても、腎皮髄境界を明瞭化することで腎皮質測定を可能にし、非侵襲的に腎機能を評価することができると考えられる。