[O-1-122] CESTイメージングによる腰椎椎間板内グリコサミノグリカンの定量的評価: T1-rhoとの比較
目的:Glycosaminoglycan CEST (gagCEST)法は軟骨組織に含まれるグリコサミノグリカンのOH基を対象とした内因性CESTイメージング法である。臨床応用に関する報告はほとんどなく、その定量性は確立されていない。本研究の目的は腰椎椎間板変性の評価における同法の有用性をT1-rho測定と比較することで検討することである。 対象と方法:9人のボランティア(年齢 32.7 ± 5.9歳; 男性8人、女性1人)の計36椎間板を対象とした。MRI装置は臨床用3T (Achieva 3.0 TX, Philips)、RF受信には32-ch cardiac torso coilを用いた。撮像断面はL2/3, L3/4, L4/5, L5/S1椎間板を含む矢状断とした。gagCEST法における飽和パルスにはパラレルトランスミッション法を用い、持続時間1.0秒、強度0.8μTに設定し、-3 ppmから+3 ppmまでを0.25 ppm毎に計25個の周波数にて撮像した。画像化には2D TSE法(TR/TE=5s/6ms, FOV=230×230 mm, resolution=1.8×1.8×5 mm, DRIVE法)を用いた。B0不均一性補正のため、B0マップを2D GE(dual echo, ΔTE=10 ms)で撮像した。MTR asymmetryの0.5-1.5 ppmでの平均値をgagCEST値とした。T1-rhoマップは3D GE法を5個のspin-lock時間(1, 25, 50, 75, 90 ms)にて撮像することで作成した。各椎間板の髄核に関心領域を設定し、gagCESTおよびT1-rho値を測定した。またT2強調矢状断像も撮像し、各椎間板のPfirrmann分類も行った。結果: Pfirrmann分類Grade 1, 2, 3, 4, 5の椎間板の数はそれぞれ13, 13, 1, 7, 2個であった。GagCEST値はT1-rhoと有意な相関(r = 0.63, P<0.0001) を示した。gagCEST値 (r=-0.76, P<0.0001) およびT1-rho値(r=-0.65, P<0.0001) ともにPfirrmann分類と有意に相関し、変性の強い椎間板ほど低いgagCEST値およびT1-rho値を示した.結論: GagCEST法は椎間板変性の定量的画像法として有用と考えられた.