[O-1-131] 高度石灰化症例における冠動脈MRAの有用性
【目的】冠動脈CT angiography(CTA)においては高度石灰化症例において、内腔の判定が困難な場合がしばしば経験される。これらの症例における冠動脈MRAの狭窄評価の有用性につき検討した。【方法】CTにおいて過去に冠動脈疾患の既往がなく、Agatston score 600以上または、600未満でも石灰化のため中枢側冠動脈に内腔評価不能部位を含む症例で、CTおよびMRI施行2週間以内に冠動脈撮影(ICA)が施行されたのは13例であった。このうち、MRA撮像が完遂できた12症例(平均年齢73.3±11.7歳、 M:F=9: 3)を対象とした。使用装置は東芝社製 1.5T MRI (Vantage Titan)であり全例3次元coherent type gradient echo法で撮像を行った。ICA所見をgold standard として中枢側冠動脈segment(AHA 分類 #1-3, #5-7, #11)の有意狭窄(≧50%)の有無をCTA, MRAで判定した。またsegmentごとにCTにおける石灰化の程度を4段階にわけ、石灰化の程度がCTAおよびMRAの判定に及ぼす影響を評価した。判定は互いの画像所見を知らない放射線科医師および放射線技師(CTA, MRA)および循環器医師(ICA)の3名で行った。【成績】症例の平均Agatston scoreは1468±913であった。CTAでは7症例、合計20 segmentにおいて評価不能部位が認められたがMRAでは2例、4 segmentにとどまった。評価不能部位を有意狭窄ありとして判定した場合のsegment base でのCTA, MRA での感度・特異度・正診率は84%・79%・80%および79%・96%・91%であった。CTAで内腔の半周以上の高度石灰化を有する部位は35 segment でみられたがこのうち内腔狭窄度の判定が正しくおこなわれたものはCTAでは14 segment, MRAでは26 segment であった。【結論】冠動脈高度石灰化症例においてCTAで内腔の判定困難な部位もMRAではそのほとんで評価可が能である。冠動脈MRAは高度石灰化症例における有用な診断法である。