[O-2-160] 繰り返し行ったfMRI検査による脳疾患患者と正常ボランティアとの賦活の比較
【背景・目的】術中MRIによる画像誘導手術においては、術前にマッピングを目的としてfMRI検査を行う。当初、賦活の再現性を確認するという目的で各タスク2回ずつ行ってきた。文献においては、同じタスクを繰り返し行うことで賦活信号の低下や賦活領域の縮小が見られるといった報告があるが、我々の施設では1回目より2回目の方が賦活信号の上昇や賦活領域の拡大が見られるといった症例を多数経験した。そこで、同様に正常ボランティアに対しても各タスク2回ずつ検査を行い、賦活信号や賦活領域の変化を確認し、脳疾患患者と正常ボランティアで比較したので報告する。【方法】使用装置はSIEMENS社製MAGNETOM Skyra D13、撮像シーケンスはgradient-echo型EPI(TR3200ms、TE30ms、FA90度、FOV192mm、スライス厚3mm)を用いた。被験者は正常ボランティア男性7名、女性3名の計10名と脳外科手術の術前検査として術前にマッピングとしてfMRIを実施した患者男性13名、女性6名の計19名であった。被験者、患者とも手指運動左手、右手、しりとり、ニュースリスニングを1セットとして2セット各タスク2回ずつとなるように検査を行い、その賦活信号や賦活領域の変化を比較した。【結果・考察】正常ボランティアにおいては1回目から2回目にかけて賦活信号の低下や賦活領域の縮小が見られた。一方で脳疾患患者では1回目から2回目にかけて賦活信号の上昇や賦活領域の拡大があった症例が正常ボランティアと比較して多く見られた。正常ボランティアの場合、タスクへの慣れによる賦活信号の低下や賦活領域の縮小があったと考えられる。脳疾患患者では慣れによるタスク遂行能力の向上が見られたと考えられる。脳疾患患者は、正常ボランティアと比較して慣れによってタスクの理解度が上がり、遂行能力の向上が期待できると考えられるので、脳外科手術の術前検査としての術前マッピングのためのfMRI検査を複数回行うことは有用であることが示唆された。