[O-2-164] 仮想灸刺激に伴う脳活動変化の検討
【背景・目的】灸は艾(もぐさ)を皮膚上で燃やすことで熱刺激を加える手法として鍼灸臨床などで行われおり、灸による熱刺激の幅は臨床で専門家が行う熱痛刺激から家庭で手軽に行える温熱刺激まで様々である。熱痛刺激は侵害刺激としてfMRI実験で盛んに行われているが、痛みを伴わない温熱刺激や温度変化の無い熱刺激に伴う脳活動の検証はほとんど行われていない。そこで今回、鍼灸臨床で用いる温筒灸を仮想した緩やかな温度変化をする熱刺激と一定温度を維持した熱刺激に伴う脳活動の変化を検討した。
【対象・方法】実験は熱刺激を行う熱刺激群(n=10, 26.6±5.3歳)と熱刺激を行わない安静群(n=10, 25.2±4.1歳)の2群に分けて行った。熱刺激は以前報告したMRI内で使用可能な自作温熱刺激装置(村瀬ら, JSMRM, 2011.)を用いて、33℃一定、40℃一定、仮想灸刺激(33℃~42℃までの範囲を緩やかに経時変化する)の3種類の熱刺激を行い、それぞれ開眼状態で6分間測定した。安静群は熱刺激を行わず、開眼状態で6分間測定した。測定装置はSIEMENS社製 3.0 T臨床用MRI装置と32chヘッドコイルを使用し、撮像シーケンスはGE-EPI法(TR=2 s, TE=30 ms, matrix size=64×64, FOV=23×23cm2, Thickness=3.6 mm, 37 slices,ipadfactor=2, 180 Volumes)を用いた。データ解析はSPM8で前空間処理を行った後、今回行った熱刺激は刺激の変動が少なく刺激に伴う脳活動が予測出来ないため、FSL アドインのMELODICを用いて、独立成分分析を行い、脳内ネットワークの1つであるdefault mode network (DMN) を抽出した。また、熱刺激によるDMNの変化を検証するために、独立成分分析の結果を比較出来る、FSL programのdual regression 解析を用いて、安静群のDMNを基準として検証した。
【結果】独立成分分析の結果、各群でDMNが観察された。また、dual regression 解析の結果、DMN関連領域の楔前部において、安静群に比べ「33℃一定」と「灸仮想刺激」で有意な結合性の増加が観察された。
【考察】今回の結果より、温熱刺激によるDMNの変化は皮膚温よりも高い温熱刺激 (40℃)では観察されないことから、皮膚温と同程度の微細な熱刺激(33℃一定)によって生じると示唆された。
【対象・方法】実験は熱刺激を行う熱刺激群(n=10, 26.6±5.3歳)と熱刺激を行わない安静群(n=10, 25.2±4.1歳)の2群に分けて行った。熱刺激は以前報告したMRI内で使用可能な自作温熱刺激装置(村瀬ら, JSMRM, 2011.)を用いて、33℃一定、40℃一定、仮想灸刺激(33℃~42℃までの範囲を緩やかに経時変化する)の3種類の熱刺激を行い、それぞれ開眼状態で6分間測定した。安静群は熱刺激を行わず、開眼状態で6分間測定した。測定装置はSIEMENS社製 3.0 T臨床用MRI装置と32chヘッドコイルを使用し、撮像シーケンスはGE-EPI法(TR=2 s, TE=30 ms, matrix size=64×64, FOV=23×23cm2, Thickness=3.6 mm, 37 slices,ipadfactor=2, 180 Volumes)を用いた。データ解析はSPM8で前空間処理を行った後、今回行った熱刺激は刺激の変動が少なく刺激に伴う脳活動が予測出来ないため、FSL アドインのMELODICを用いて、独立成分分析を行い、脳内ネットワークの1つであるdefault mode network (DMN) を抽出した。また、熱刺激によるDMNの変化を検証するために、独立成分分析の結果を比較出来る、FSL programのdual regression 解析を用いて、安静群のDMNを基準として検証した。
【結果】独立成分分析の結果、各群でDMNが観察された。また、dual regression 解析の結果、DMN関連領域の楔前部において、安静群に比べ「33℃一定」と「灸仮想刺激」で有意な結合性の増加が観察された。
【考察】今回の結果より、温熱刺激によるDMNの変化は皮膚温よりも高い温熱刺激 (40℃)では観察されないことから、皮膚温と同程度の微細な熱刺激(33℃一定)によって生じると示唆された。