[O-2-165] fMRIに基づくグリーンレーザーを用いたアロディニア特異的な痛み応答の解析
【背景・目的】アロディニアは線維筋痛症などの疾患において発症し、通常では痛みと感じない刺激を痛みとして認識する。本研究はRIMラットのアロディニア特異的な痛み応答を明らかにすることで、発症メカニズムの解明や、治療薬の開発を行うことを目的とする。我々は昨年度本大会やISMRMにおいて、アロディニアを示す線維筋痛症のモデルであるreserpine induced myalgia (RIM)ラット[1]にグリーンレーザーを照射し、アロディニアに由来するBOLD信号が得られたことを報告した[2][3]。今回は、BOLD法と比較して高い感度が期待されるcerabral blood volume (CBV)法を適用した[4]。【方法】7.0 T MRI装置(Bruker Biospin)を用い、RIMラットと健常ラットの撮像実験を行った。筋弛緩剤のガラミン持続投与・人工呼吸を行い、体温・血圧・pO2・pCO2を計測した。USPIO投与後にGRE-EPI撮像を行い、左後ろ足へのレーザー照射に応答した脳血管の拡張を観測した。信号強度変化の解析にはSPM8を用いた。【結果】レーザー照射時の血圧変動や外傷が見られない刺激条件を見出した。CBV法を適用した結果、RIMラットにおいて、一次体性感覚野等の信号強度の減弱が見られた。これらはBOLD法においても信号変化が見られた領域であった。【考察】CBV法とBOLD法で、同じ脳領域に信号変化が見られたことから、レーザー刺激による脳の賦活を捉えることができたと考える。また、RIMラットに観測され、健常ラットでは見られなかったことから、アロディニア特異的な痛み応答であることが示唆される。【結論】RIMラットにおけるアロディニア発症を、CBVとBOLDの2つの方法で評価した。本実験系は、機能的結合性解析を組み合わせることで、アロディニアの原因となる神経伝達異常の解明に貢献すると考える。また、外傷が生じないレーザー刺激を用いるため、ヒトの臨床・前臨床鎮痛薬評価系として、新薬創出に貢献することが期待される。【参考文献】[1] Nagakura, Y. et al., PAIN, 146, 26-33 (2009)[2] 杠 他, 第41回磁気共鳴医学会大会, p-3-238 (2013)[3] Yuzuriha, N. et al., ISMRM, 3036 (2014)[4] Kim SG. et al., Open Neuroimag J, 5, 136-145 (2011)