第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

骨関節-T1ρとCEST

骨関節-T1ρとCEST

Fri. Sep 19, 2014 3:50 PM - 4:40 PM 第2会場 (3F 源氏の間東)

座長:濱田英敏(大阪大学大学院医学系研究科 器官制御外科学(整形外科))

[O-2-169] gag-CESTにおける血流の影響

青木孝子1, 川口拓之2, 渡部進一3, 采沢大志3, 栗田京助3, マシュー ニールセン4, 新津守1 (1.埼玉医科大学 放射線科, 2.放射線医学総合研究所 分子イメージング研究センター, 3.埼玉医科大学病院 放射線技術部, 4.シーメンス・ジャパン株式会社)

関節軟骨のglycosaminoglycan (gag) 濃度の計測は変形性関節症 (OA) の早期診断に有用である。CESTによるgag計測においてgag-OH基と自由水プロトン間のケミカルシフトは1 ppmと小さく3T装置で得られるCEST効果の感受性は低いためB0不均一補正の精度を上げることが必須条件となる。しかし、Z-spectraの非対称性から得られるMTRasymのピークがgagの周波数からわずかにずれることが多い。本研究では、ピークのずれが膝関節軟骨周囲の動静脈に起因するB0不均一により生じると仮定し、血行動態がCEST効果に及ぼす影響を調べた。成人健常ボランティア14名(平均32.9歳)に足関節底背屈運動50回を行わせ、運動前後のCEST効果およびB0補正値を比較した。また、50回/分のペースで背屈運動30回による血流変化をVENC, IVIM, T2starにより評価し、MTRasymを運動前後で比較した。MTRasymの計測は内側半月板内側縁と外側縁に接する大腿骨内側顆軟骨上に5 pixelのROIとした。IVIMの算出には山梨大学医学部放射線科が提供するホームページ(http://yamarad.umin.ne.jp/ivim/)を利用した。 3D gag-CESTはTR/TE=690 ms/3.6 ms, FA=12 deg, RF power= 2.5μT, offset =13 (-2.6~2.6 ppm), FOV=160 mm×160 mm, voxel size=0.625×0.625×3.5 mm3でscanした。足関節底背屈運動後14名中10名にMTRasymの増加がみられ、内縁側で最大458%、平均168%増加した。VENC法で血流速は膝下動脈に変化はなく、大伏在静脈で約7%上昇し、T2starは平均10%増加した。 IVIMでは灌流を拡散とみなした拡散係数Dstarは軟骨周囲の筋で特に増加した。運動前後のB0補正値は内縁側で0.05 ppm増加し、外縁側で0.04 ppm 減少した。背屈運動による筋ポンプ作用は軟骨周囲の静脈還流を増加し、一過性に増加した静脈内のデオキシヘモグロビンが磁性物質として作用して磁化率が変化しB0不均一を生じさせ軟骨周囲の信号が低下してMTRasymが増加したと考えられる。個人差はあるが、静脈還流の増加のような血流変化による磁化率の変化は軟骨のB0に影響する場合があることを示した。