第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

造影剤-基礎

造影剤-基礎2

Fri. Sep 19, 2014 10:20 AM - 11:00 AM 第5会場 (3F 源氏の間西)

座長:岡田知久(京都大学医学部附属病院 放射線診断科)

[O-2-247] MRIを用いたアスコルビン酸耐性ニトロキシド化合物TEEPONEのマウス頭部における動態解析

江本美穂1, 山田健一2, 大和真由実3, 藤井博匡1 (1.札幌医科大学 医療人育成センター, 2.九州大学大学院薬学研究院, 3.九州大学 先端融合医療レドックスナビ研究拠点)

【はじめに】 生体は様々なストレス刺激により、活性酸素種(ROS)やフリーラジカルが過剰に産生される事が知られている。これらにより、生体内の酸化還元バランスが崩れ、疾病が引き起こされる事が数多く報告されている。我々は動物の体内で産生されるROSやフリーラジカルの情報を、非侵襲的に評価できるスピンプローブとしてニトロキシド化合物を用いた研究を行ってきた。このニトロキシド化合物は、生体内に存在するアスコルビン酸(AsA)などの様々な抗酸化物質の影響を受け常磁性を失う。そこで、実際に過剰に産生されたROSやフリーラジカルを正確に評価するためには、抗酸化物質の影響を受けないニトロキシド化合物を用いる必要性がある。本研究では、AsA耐性ニトロキシド化合物を合成し、マウス頭部におけるニトロキシド化合物の動態と分布を、MRIにより検証した。【方法】 0.5Tの小動物用MRI装置(MRmini MRテクノロジー)を用いて、マウス頭部における画像を取得した。AsAに強い耐性を持ち、BBB透過性のある化合物2,2,6,6-Tetraethyl-piperidine nitroxide(TEEPONE)を合成し10%INTRAFAT注(武田薬品工業)に200mMになるように調整し、マウスの尾静脈より投与した。【結果・考察】 AsAに強い耐性を持ち、BBB透過性を持つニトロキシド化合物であるTEEPONEをマウス尾静脈より投与したところ、TEEPONE投与による造影効果を頭部全体で観察することができた。また、INTRAFATの濃度を5%程度に下げると、TEEPONEは脳内に限局する事が明らかとなった。MRI画像の造影効果から算出したTEEPONEの脳内半減期は約80分程度と、EPRイメージング法を用いた先行研究と同様の値を示した。TEEPONEはASAの影響を受けること無く、脳内外を造影できることをMRIを用いて評価することができた。TEEPONEはAsA耐性を有するので脳内ラベル剤として利用することも可能である。また今後ROSやフリーラジカル評価用の造影剤として活用することも検討している。