[O-2-269] ボア内に混入した微小磁性体による磁場歪み
【はじめに】装置メーカーが定期点検を行っているにも関わらずボア内に混入した微小磁性体(ヘアピン)が発見されずに、乳房拡散強調画像にゴースト状アーチファクトが発生し続けた。そこで、われわれは磁場歪みマッピングを行い、微小磁性体による磁場歪みについて調べた。【方法】直径32 cmの球形ファントムをスキャナー中心に置き、GRE法にてTR:360 ms、TE : 10、20 ms、FOV:40×40 cm2、スライス厚:5 mm、matrix size:256×256、Flip Angle 30°、NEX:1、バンド幅:75.1 kHzで撮像を行い、実部画像と虚部画像を取得し、自作ソフトウエアーにより位相情報を抽出し磁場歪みマップを作製した。また、ボディコイル中心左側下部にヘアピンを貼りつけて固定し、同様に磁場歪みマップを作製した。【結果と考察】磁性体がない場合はファントム内の磁場は±0.5 ppmの歪みであったが(図1a) 、ボア内壁にヘアピンを固定した場合、ヘアピン側の磁場が低下し、対側の磁場が増加していた(図1b )。この場合の磁場歪み(±2.5 ppm)はファントム全体からの信号を基に判断する装置メーカーの点検 では許容されたが、乳房撮像の対象位置である下部の磁場は大きく変化していた。この局所的磁場変化がアーチファクトを発生させる恐れがある。【結論】微小磁性体によりアーチファクトの原因となる局所的磁場変化が発生するが、ファントム全体からの信号を基にした点検では見落とされる場合がある。