第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

灌流-脳疾患

灌流-脳疾患

Sat. Sep 20, 2014 10:30 AM - 11:20 AM 第2会場 (3F 源氏の間東)

座長:山田惠(京都府立医科大学 放射線医学教室)

[O-3-283] STA-MCAバイパス術施行症例における選択的ラベリングを用いたterritorial ASLの臨床的有用性

岩本勝一1, 一ノ関雅明1, 小原真2 (1.函館脳神経外科病院 放射線科, 2.株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン)

【目的】STA-MCAバイパス術の術後評価にはMRAやCTAが利用されるが、バイパス血管の血流状態を直接的に評価することはできない。今回、選択的ラベリングを用いたmulti-phase territorial ASL(tASL)を用いて、非侵襲的に術後バイパス血管の血流評価を試みたので報告する。【対象と方法】Philips社製Achieva3.0Tを使用した。対象は平成23年1月から平成26年1月まで当院にてSTA-MCAバイパス術を行った26例中、材質不明の脳動脈クリップ術を施行している症例を除いた25例とした。tASLで得られたデータよりバイパス血管の血流状態を視覚的に評価し、術前術後に施行した脳主要血管全体ラベリングASLと比較した。さらに術後定期的にtASL、MRAおよび全体ラベリングASL検査を施行し、比較した。【結果】全例においてtASLデータ上手術後の血流が改善していることが確認された。MRAまたはCTAで吻合血管が良好な場合、全体ラベリングASLおよびtASLでも血流改善が明瞭に描出された。経過観察においては、25例中24例においてtASL上術後と同等もしくは経過に伴い血流改善が確認された。また1例においては、手術後に改善された血流が経過観察で血流低下が確認された。【結語】tASLはSMbにおいて吻合した血管を選択的にラベリングすることで、従来検査では得られない、バイパス血管の血流情報を直接的に評価できる可能性がある。バイパス術の術後評価および経過観察における臨床的有用性が示唆された。