[O-3-300] 食道癌化学放射線療法後サルベージ術後の病理組織とCT、MRI所見の比較
【目的】食道癌術前の前治療として、化学放射線療法を行った場合の画像での効果判定の可能性に関してCT、MRI所見を術後病理と比較検討すること。【対象、方法】2011年1月から2013年6月まで食道癌術前に化学放射線療法と行い、かつ、化学放射線療法前後でCT、MRIを撮像した29例を対象とした。画像の検討は3名の放射線診断科専門医のコンセンサスリーディングで行った。CTは造影CTの水平断像、MRIはT2強調像, 拡散強調像の水平断像を用いた。化学放射線療法後の腫瘍遺残度を食道癌取り扱い規約第10版に従い、画像上のT分類で行った。病理所見は術後の深達度および食道癌取り扱い規約第10版に記載の化学放射線療法のgrade分類を用いた。画像結果を病理所見の2×2表の作成を行い、統計解析を行った。有意水準は5%未満とした。【結果】画像と術後病理のT分類はCT、MRIともに一致度に統計的な有意な結果は得られなかった。化学放射線療法後のgrade分類との比較でもCT、MRI所見は統計的に有意な結果を得られなかった。ただ、化学療法後の効果判定でT3以浅とT4で分けた場合、CTは4例T4の偽陽性を生じたのに対して、MRIでは偽陽性は一例もなかった。CT、MRIともに偽陰性例が1例ずつ生じた。【結論】化学放射線療法後のCT、MRI所見は術後病理との対応が難しく、現時点では病理組織的な遺残および化学放射線療法後grade分類の予測は困難である。ただし、化学放射線療法後に腫瘤の遺残がある場合、CTは深達度を過剰に診断する可能性があり、適宜MRIを追加して化学放射線療法後の深達度診断は行うべきである。