[O-3-312] Amide Proton Transfer (APT) Imagingによる胸部結節及び腫瘤の良・悪性鑑別診断に関する初期検討
【目的】Amide Proton Transfer(APT)を用いたChemical Exchange Saturation Transfer(CEST)imagingによる胸部結節及び腫瘤の良・悪性鑑別診断に関する初期検討。【対象】対象は17名の胸部結節及び腫瘤を有する患者であり,3T MR装置にてAPT imagingにてAmide信号を画像化し,病理学的検査及び経過観察を行った。胸部結節及び腫瘤の最終診断は12例の悪性結節・腫瘤(肺腺癌:n=6,肺扁平上皮癌:n=4,悪性リンパ腫:n=2)と5例の良性結節・腫瘤(器質化肺炎:n=3,平滑筋肉腫:n=1,胸腺腫 type A:n=1)である。APT imagingはMTパルスを連続印加したFast Advanced Spin-Echo法にて撮像し,z-スペクトラからピクセル毎に3.5ppmにおけるAmide信号を非対称性(Magnetization Transfer Ratio Asymmetry:以下MTRasym)から算出し,MTRasymマップを作製した。ついで,APT imagingにおける良・悪性鑑別診断能及び組織診断能を評価するために各結節及び腫瘤にROIを設定し,平均MTRasmを測定した。そして,MTRasymに関して良・悪性結節・腫瘤群間,肺癌と悪性リンパ腫群間及び肺腺癌及び肺扁平上皮癌群間でStudent’s t-testにて比較検討した。【結果】悪性結節・腫瘤群の平均MTRasym(3.3±2.7 %)は良性結節・腫瘤群(0.3±0.3 %, p=0.03)に比して有意に高かった。悪性結節・腫瘤群内では悪性リンパ腫群の平均MTRasymは(8.0±3.9 %)は肺癌群(2.3±1.2 %, p=0.001)に比して有意に高かった。そして,肺腺癌群(2.9±1.2 %)は肺扁平上皮癌群(1.4±0.2 %, p=0.04)に比して有意に高かった。【結語】APT imagingは非浸襲的に肺結節及び腫瘤の非侵襲的な組織診断法であり,新たな分子イメージング法として良・悪性鑑別診断などに臨床応用可能であることが示唆された。