[P-1-005] 前立腺癌存在診断におけるArterial spin labeling (ASL)有用性の検討
【目的】前立腺癌診断で、造影MRIは広く行われている。しかしながら、近年ではNephrogenic Systemic Fibrosisの報告があり造影剤使用が禁忌とされる症例も増加してきた。我々はこれまで、頭蓋内腫瘍においてArterial Spin Labeling(ASL)法の有用性を報告してきた。今回の目的は、このASL法を前立腺領域に使用し造影検査と比較することでその有用性を検討することである。【対象と方法】2013/8/26~2014/1/22で前立腺癌疑いのためMRI検査を施行した者のうち、生検で前立腺癌が組織学的に証明された者を対象とした。年齢(56~89歳;平均72歳)、PSA値(5~220 ng/mL;平均47.26 ng/mL)。 MR装置;Vantage Titan (3T) 。粗大な病巣が観察された2名においてTI値を1,400~3,000msecの間で変化させ、ASL撮像のパラメータを決定した。T2WI・DWIを参照し放射線診断専門医と技師の合意でASLスライス選択を行った。また、ASL画像とT2WIの融合画像を作成した。ASL・ダイナミックstudy(DCE-MR)の画質、T2WI・DWIでの病変の範囲とASLおよびDCE-MRでの病変範囲の一致度を独立した2名の放射線科医がそれぞれ3段階評価を行いκ検定を行った。【結果】ASL画質スコアは2.66 ± 0.12、観察者間一致率はκ = 1.00で完全に一致。全対象15例中11例はASLとDCE-MRの範囲は完全一致、4例で部分的な差が見られた。観察者間のASL診断一致率はκ = 0.84で良かった。【結語】非造影MRIによる前立腺癌診断においてASL法は有用な撮像法となり得る。