[P-1-006] 前立腺MRSにおける脂肪抑制効果の基礎検討
【目的】当院では前立腺検査においてMRSを撮像している。脳組織におけるMRS撮像では通常脂肪成分の割合が非常に小さく脂肪抑制法を併用することがなかったが、前立腺撮像においては周囲が脂肪組織に取り囲まれており脂肪抑制法の導入が必要と思われていた。今回脂肪抑制法を併用できるようになったのでMRS撮像における脂肪抑制効果の基礎検討を行った。【使用機器・使用シーケンス】MRI装置:Vantage TitanTM 3T シークエンス:MRS TE:136ms TR:2000ms FA/Flop:90/180 水抑制パルス:170脂肪抑制:SPAIR ボクセルサイズ:1.3×1.3×1.3cm NEX:100 撮像時間:3分22秒【方法】生クリーム(脂肪分47%)の中に塩化コリンを入れた自作ファントムを作成し、MRSの脂肪抑制有無を撮像した。また、検査内容を理解した患者に同意を得て臨床でのMRSの脂肪抑制有無の評価を行った。評価者は放射線科医1名、診療放射線技師7名で行った。【結果】ファントム実験の結果では脂肪抑制を併用しないと波形全体が脂肪の影響を受け塩化コリンの波形が観察困難となるが、脂肪抑制を併用すると塩化コリンの波形が観察できるようになった。また、臨床においてもMRSを撮像するときは脂肪抑制を併用した方がよい結果となった。特に前立腺と周囲脂肪織が隣接する部分を撮像するときは脂肪抑制を併用した方が良かった。【考察】体幹部などの頭蓋内以外の部位でMRSを撮像する場合は脂肪抑制法を併用すると代謝物質の波形が明瞭に観察でき、臨床応用時に有利に働くと考えられた。【結語】前立腺MRSにおいて脂肪抑制法の併用は有用と示唆された。