[P-2-096] Limb body wall complexの1例: 胎児MRI
はじめに 稀な多発奇形であるLimb body wall complex(以下:LBWC)は超音波検査で疑われ出生後に診断されることが多い。今回、胎児MRIにより頭部、脊髄、肺および胎児の全体像を出生前に評価したLBWC例を経験したので報告する。症例 妊娠16週に臍帯ヘルニアが疑われ当院紹介となった。当院超音波検査で臍帯ヘルニア、脊椎後弯が疑われLBWCの可能性があるため診断目的でMRIが施行された。MRIでは臍帯ヘルニアにより肝、胃、小腸、大腸の一塊となった全脱出を認めた。脊椎は弯曲、低形成があり脊椎破裂により下部腰椎レベルに髄膜瘤を認めた。右下肢及び腎の欠損を認めた。膀胱は同定できなかった。脳に異常所見はなかった。肺低形成の所見はなかった。むしろ腫大しており上部気道閉塞の可能性があった。妊娠34週で出生。上気道閉塞はなく挿管可能であった。出生後、視診、触診、単純X線写真で鎖肛,膀胱外反、右腸骨欠損が認められた。考察 超音波検査所見にMRI所見に加えることにより頭部や顔面に異常所見のないLBWC Resso分類のtypeIIと診断した。中絶や死産例がほとんどであるが生存例の報告もある。分娩体制,出生後の管理、両親へのカウンセリングには、MRIで評価可能な胎児の全体像、胎盤の位置、中枢神経奇形の有無が必要である。LBWCで胎児期に肺の腫大を示した報告はこれまでにない。今回MRI所見は先天性上気道閉塞に類似しており挿管困難の可能性も考慮し分娩体制を整えたが、出生時挿管が可能で上気道閉塞はなかった。肺腫大の原因として腹腔が空虚であることによる胸郭の代償性腫大を考えている。病理所見との比較検討が必要である。まとめ 超音波所見にMRI所見を加えることによりLBWC typeIIと診断した症例を報告した。