第42回日本磁気共鳴医学会大会

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ポスター

送受信回路改善

送受信回路改善

Fri. Sep 19, 2014 3:18 PM - 4:00 PM ポスター会場 (5F ロビー)

座長:白猪亨(株式会社日立製作所 中央研究所)

[P-2-143] 傾斜磁場コイルにおける導体内電流分布評価手法の開発

今村幸信1, 阿部充志1, 黒目明2 (1.(株)日立製作所 日立研究所 エネルギー・環境システム研究センタ, 2.(株)日立メディコ 柏事業所)

【はじめに】MRI装置に使用される傾斜磁場コイル(GC)には、不要な漏れ磁場による渦電流の発生を抑制する構造として、メインコイルとシールドコイルで構成されるアクティブシールド構造(ASGC)がある。ASGCではメインコイルとシールドコイルの位置精度を向上させるため、導体は幅広の銅板を切削加工し互いに樹脂モールドによって一体化されている。このため、導体内には通電に伴う電流分布の偏りが生じ、漏れ磁場や発熱に影響を与えることから、導体内の電流密度分布の評価手法が必要であった。【内容】傾斜磁場コイルのパターンは、傾斜磁場分布や漏れ磁場および電流密度を考慮し、流れ関数などを使用して設計されており、3次元曲面の渦巻状導体を有している。設計通りの磁場性能を発揮するため、傾斜磁場コイルの導体は銅板をNCなどで切削、曲面に加工して位置精度を確保している。しかしながら、幅広の導体のため、通電時に導体内の電流密度に分布が生じる。設計時との電流分布の差は、漏れ磁場に伴う渦電流誤差磁場や、高電流密度部の発熱温度上昇の原因となる。このため、積分方程式に基づく磁場解析を用い、導体内の電流密度分布を評価する手法を構築した。傾斜磁場コイルの導体幅は10~20mm程度であり、電流密度分布を表現するためには1mmサイズの有限要素が必要である。一方、傾斜磁場コイルのサイズは1m以上あり、傾斜磁場コイルのモデル化には100万要素以上が必要であった。本手法では、電流密度分布を評価する部位を限定し、傾斜磁場の影響は外部磁場として与えることで、数万要素での数10分の計算が可能である。【結果】本手法を用いてASGCを有する開放型MRI装置を評価した。メインコイルとシールドコイルそれぞれの導体内の電流密度分布を評価したところ、シールドコイルでは導体内の電流密度の集中は見られないが、メインコイルでは導体の幅広部分で電流密度の偏りと渦電流が発生していることが分かった。これは導体の受ける傾斜磁場が、メインコイルで大きいことが原因である。さらに、渦電流の発生は、500Hz以上の通電周波数で特に顕著であり、高速撮像時に傾斜磁場コイルの温度上昇要因となることが分かった。