[P-2-144] サイン波形の傾斜磁場パルスによる静音化効果
【はじめに】高磁場化にともない撮像時の静音化はMRIにおける課題の一つとなっている。静音化の手法は、傾斜磁場パルスの強度やスルーレートを小さくすることにより、その周波数を数百ヘルツ以下に抑えるのが一般的である[1]。しかし、傾斜磁場の印加は時間的に余裕のない場合が多い。そのため、静音化によって画像コントラストが変化したり撮影時間が延長する傾向にあった。時間の延長なく周波数を低くするには、印加時間と面積が元の台形波と等しい一周期のサイン波を用いることが可能である。ただし、面積を等しくすると強度が約1.8倍となりかえって音が大きくなる恐れがある。そこで、サイン波を用いた場合の静音化効果を評価した。
【方法】傾斜磁場パルスの形状を台形波とサイン波にした場合の音圧レベルを計算により評価した。評価したパルス形状は、印加時間と面積が等しいA: 台形波とB: サイン波、C:スルーレートを小さくして印加時間を延長した台形波の3種類である。Aの印加時間は1 msから4 msとし、立ち上がり時間は0.2 msとした。また、Cの強度はAと等しくした。各パルスをフーリエ変換してから周波数応答関数(FRF)との積をとり、音圧レベルを計算した。FRFは3 T装置で測定したものを用いた。なお、Cではスルーレートを変化させてBと同等の音圧レベルとなる印加時間を探した。
【結果と考察】印加時間が2 msの場合、Bの音圧レベル(x、y、zの3軸平均)はAと比較して-6 dBであり、印加時間が4 msの場合は-17 dBであった。それぞれ、Cで同等の音圧レベルを得るためにはCの印加時間を1.3倍と1.7倍に延長する必要があった。一方、印加時間が1 msの場合には、Bの音圧レベルはAに対して3 dB増加した。
サイン波で元の台形波と印加時間を変えずに面積を等しくするためには、強度の最大値を約1.8倍にする必要がある。一方、FRFは、数百ヘルツ以下は非常に小さくなっている。このことから、印加時間が2 ms程度以上であり、傾斜磁場強度に余裕がある場合には、印加時間の等しいサイン波形を用いることが静音化に有効である。
[1] Hennel F. MRM 1999;42:6-10
【方法】傾斜磁場パルスの形状を台形波とサイン波にした場合の音圧レベルを計算により評価した。評価したパルス形状は、印加時間と面積が等しいA: 台形波とB: サイン波、C:スルーレートを小さくして印加時間を延長した台形波の3種類である。Aの印加時間は1 msから4 msとし、立ち上がり時間は0.2 msとした。また、Cの強度はAと等しくした。各パルスをフーリエ変換してから周波数応答関数(FRF)との積をとり、音圧レベルを計算した。FRFは3 T装置で測定したものを用いた。なお、Cではスルーレートを変化させてBと同等の音圧レベルとなる印加時間を探した。
【結果と考察】印加時間が2 msの場合、Bの音圧レベル(x、y、zの3軸平均)はAと比較して-6 dBであり、印加時間が4 msの場合は-17 dBであった。それぞれ、Cで同等の音圧レベルを得るためにはCの印加時間を1.3倍と1.7倍に延長する必要があった。一方、印加時間が1 msの場合には、Bの音圧レベルはAに対して3 dB増加した。
サイン波で元の台形波と印加時間を変えずに面積を等しくするためには、強度の最大値を約1.8倍にする必要がある。一方、FRFは、数百ヘルツ以下は非常に小さくなっている。このことから、印加時間が2 ms程度以上であり、傾斜磁場強度に余裕がある場合には、印加時間の等しいサイン波形を用いることが静音化に有効である。
[1] Hennel F. MRM 1999;42:6-10