第42回日本磁気共鳴医学会大会

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ポスター

脳のMRI

脳のMRI

Fri. Sep 19, 2014 10:12 AM - 11:12 AM ポスター会場 (5F 通路)

座長:渡邉嘉之(大阪大学大学院医学研究科 放射線医学講座)

[P-2-168] 急性期MRAで描出されなかった頚部頚動脈狭窄症の1例

井上敬1, 江面正幸1, 上之原広司1, 藤村幹2, 冨永悌二2 (1.仙台医療センター 脳神経外科, 2.東北大学医学部 脳神経外科)

[はじめに]頚部頚動脈狭窄症に由来する脳梗塞は内科的治療のみでは転帰不良となることがある。特に2週間以内の発症早期に外科的血行再建術を行うことが良好な転帰につながると報告されている。今回、MRAでは描出困難であった頚部頚動脈狭窄症の1例を経験したので報告する。[症例]49歳男性。既往歴に特記事項はない。突然の意識障害、左上下肢麻痺を主訴に救急搬送された。来院時神経症状は急速に改善しており、t-PA静注療法は行わなかった。来院時DWIで右半球に散在性の高信号域を認め、脳梗塞急性期と診断した。頭蓋内MRAおよび頚部MRAでは主幹動脈に有意狭窄を認めなかった。入院翌日に施行した頚部血管エコーで、右頚動脈分岐部に可動性のあるプラークを認め、狭窄率は約80%と計測された。同日、全身麻酔下に頚動脈内膜剥離術を施行した。手術所見では、分岐部内膜にびらんおよびそこに付着し、内腔をほぼ充満する赤色血栓を認めた。術後経過は良好で、神経脱落症状は完全回復し、独歩自宅退院となった。[考察]近年頚部頚動脈狭窄症のMRA診断は、解剖学的病変のみならず、いわゆる脆弱プラークなどの質的診断においても有用とされる。今回は、エコー及び、手術所見で高度狭窄を認めたにも関わらず、MRA MIP画像および元画像でも狭窄性病変は判然としなかった。その原因としては、MRA撮像後に血栓が成長した可能性、血栓が生成され間もないためにTOFでは十分な高信号とならなかった可能性が考えられる。[結語]頚部頚動脈狭窄症においては、頚部MRAでは時にその描出が困難な症例があることを念頭に急性期診断・治療を考慮する必要があると思われる。