[P-2-193] 脳形態により個人は特定できる
近年、ネットワーク技術の拡大とともに本人認証のために生体認証が広く使われてきており、指紋、顔、虹彩、静脈、掌形といったモダリティが個人を特定する特徴として用いられている。また、脳画像を用いた大規模研究が多く行われるようになっており、脳画像とともにDNA情報などの個人情報が公開されている。本研究では、脳形態画像により個人が特定可能かについての検討を行った。各個人に対して2回ずつ撮像したIR-FSPGRによるボリューム画像を用いて、“固有脳”を算出し、画像間の距離を計算することで認証を行った。空間および信号の正規化としては、VBM(Voxel-based morphometry)を用いた。全体の分散のうち、“固有脳”38個までで50%の分散が説明可能であった。16個、32個の“固有脳”を使用して距離を計算した場合、それぞれ、97%、100%で個人の特定が可能であった。スキャナの違いやアップグレードによる認証への影響はなかった。脳形態画像により個人は特定可能であり、顔などに比べても認証率はよいと思われる。脳形態は個人を特定しうる情報であり、データの公開時には注意が必要であろう。また、将来的には、病院での検査時の患者取り違えにも応用できるかもしれない。