第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

マイクロイメージ・基礎

マイクロイメージ・基礎

2014年9月20日(土) 09:30 〜 10:12 ポスター会場 (5F ロビー)

座長:服部峰之(産業技術総合研究所 電子光技術研究部門光センシンググループ)

[P-3-215] 臨床用MR装置を利用した考古学分野への応用‐木材の年輪年代計測

妹尾淳史1, 山田昌久2, 鈴木伸哉3, 大山幹成4, 森美加1, 高島大5, 諏訪亨5 (1.首都大学東京大学院人間健康科学研究科 放射線学専攻, 2.首都大学東京大学院人文科学研究科 文化基礎論専攻, 3.東京都埋蔵文化財センター, 4.東北大学 学術資源研究公開センター, 5.フィリップスエレクトロニクスジャパン)

【目的】本研究の目標は、臨床用MR装置の最新技術を応用して出土木材の年輪画像を取得し、考古学の年輪計測・年輪年代法を適用し木材の伐採年や生育地を特定するという新しい非破壊計測法を確立することである。出土材の年代測定法としては放射性炭素年代測定法が一般的であるが、この方法は出土材の一部を破壊しなくてはならず、さらに計測結果には統計的な誤差が含まれる。本研究では最初のトライアルとして、保存状態の異なる出土木材を実際に臨床用MR装置で撮像した年輪画像から年代測定可能か否かについて検討することを目的とする。
【方法】撮像対象は約300年前の水浸の木椀,約400年前のPEG含浸の木材および,約1万5千年前の水浸の木材とした。MR装置はPhilips社製3.0T Achievaを使用し、撮像は通常のFE系およびSE系でT1強調やT2強調を撮像した。
【結果】水浸木椀ではT2強調,PEG含浸木材ではT1強調で年輪が描出された(Fig.)が、約1万5千年前の水浸木材では浸食が多く、どの撮像法でも明瞭な年輪画像が得られなかった。【考察および結論】臨床用MR装置を利用した出土木材の年代計測では、木材の保存状態に応じてパラメータを最適化することで年輪画像が得られることを明らかにした。今後、出土木材の保存状態に応じて撮像法をさらに最適化して出土材の年代や生育地を計測する方法を確立していきたい。