Riabilitazione Neurocognitiva 2021

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整形外科疾患

[S7-05] 交通外傷後3年間踵非接地の症例が骨延長術を施行し歩行獲得に向けて行ったイリザロフ法施行中の取り組み

*山形 繁広1 (1. 兵庫県立西宮病院)

【はじめに】
 交通外傷後約3年間踵非接地下で生活していた症例が骨延長術を施行した.骨延長術後イリザロフ法施行中に踵接地の情報構築に向けた取り組みを報告する.

【症例】
 60歳代男性.交通外傷にて右脛腓骨開放骨折,骨盤骨折を受傷し,骨盤と下肢に対し複数回骨接合術等を施行.約3年間補高靴と松葉杖で前足部接地の歩行であった.今回右下腿骨折変形治癒に対し,骨延長術(7㎝の短縮に対し,0.5mm/日,抜釘は286病日)を施行.術後78病日にPT開始.201病日の初期評価はROMは足関節背屈0°内反-5°,膝関節伸展-20°,触覚は前足部・踵部共に3/10,立位荷重量は30/60kgであった.歩行は視覚で足元を確認し,前足部接地となり荷重時痛(NRS6)を認め,両上肢で体幹を前方に推進していた.右下肢の記述や右足底に口頭指示で注意を向けることは可能であった.損傷前イメージや健側のイメージと比較することと,痛くない楽な経験は情報構築に繋がる特徴を示した.

【病態解釈】
 約3年間の踵非接地の歩行により足底の細分化異常を生じ,運動戦略の異常が生じていると考えた.踵接地による荷重の経験と重心移動に伴う体幹の関係性を構築することで,運動戦略の改善から関節拘縮や筋萎縮の改善へ繋がると考えた.

【経過】
 踵接地の際,下方向へ努力的に着いていたため,立位で前足部と踵の圧の差異を基に重心移動を伴う接触課題を行った.そして水たまりを越える際の損傷前イメージを用い,体幹の推進と足底の重心移動の関係性の構築を図った.275病日のROMは足関節背屈5°内反0°,触覚は踵10/10,前足部8/10に改善し,立位荷重量は57/60kgとなった.歩行は踵接地後の重心移動の方向と体幹の位置関係に気づきを認め,踵接地が可能となり荷重時痛(NRS1)となった.

【考察】
 体幹と直立二足歩行の関係において体幹のグライダー機能が最も重要(宮本,2018)といわれている.踵の接触課題において圧の知覚だけでなく,体幹と足底の関係性の構築が重心移動に伴う重量の移動に繋がり,楽で痛くない経験に繋がったと考えた.骨延長術後イリザロフ法施行中においても荷重を伴う情報構築が足関節の拘縮や運動戦略に影響を与え,歩容の改善に繋がることが示唆された.

【倫理的配慮,説明と同意】
 本人に書面にて同意と兵庫県立西宮病院倫理審査の承認を得ている(承認番号R3-6).