Riabilitazione Neurocognitiva 2022

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[S6] 小児

[S6-03] 「笑わない」と言われた子どもの他者との相互関係を構築する関わり

*後藤 晴美1、前田 浩利2 (1. はるたか会(訪問看護ステーションそら·あおぞら診療所(墨田・せたがや))、2. あおぞら診療所新松戸)

【はじめに】子が母に笑いかける行為は自らの運動と養育者との随伴的な認識と学習の結果生じる。James(1884)は、感情とは“身体的変化から興奮している事実を感じとること”であると定義し、"速い心拍,深い呼吸・・身体的変化がなければ感情も存在しえない"と述べた。母の「笑わない」と言う言葉から、身体状況が不安定な中でも、自ら動くことで本人の感情を引き出し、他者との相互関係を構築することを目標に訓練を行ったので報告する。

【症例】1歳男児。18トリソミー、早産極低出生体重児(34週1021g)、心室中隔欠損(肺動脈絞扼術実施)、A型食道閉鎖症(胃瘻増設術、持続吸引使用)、口唇口蓋裂、両側前腕低形成(左肘伸展拘縮)左少指症、左上腕骨骨折既往、難聴。退院時(6か月体重2283g)生後9か月より訪問リハ開始。退院後呼吸不安定で非侵襲的陽圧換気導入、11か月単純気管切開、人工呼吸器使用。周術期に肝芽腫発見、化学療法実施中。

【評価】吸啜様の口の動き。姿勢により酸素飽和度変動し、呼吸不安定、触覚による快不快+。未定頚で動き乏しいが上肢は肩挙上の動き有。初回時調子よく声掛けや耳元でのがらがらに目を見開く。音源定位左は+。おもちゃ追視+。くすぐり遊びに口元緩む。体調悪化後は閉眼で泣く、目が合わない、小さな動きのみ

【病態解釈】体調や環境により動きが制限、自らの動きによる学習経験が不足。声無く泣く、見る行為は一瞬で他者の快の表情に触れる経験がなく相互関係の構築が困難。他者は意識できるが、受け身で、働きかけや感情の変化ができないと解釈した

【治療方略】他者に笑いかけるための要件を整理。①呼吸安定のため自らの動きを引き出す。舌の動き(唾液流出と口の動き)と深呼吸など②抱っこや動きの学習、表出方法の創発③視覚情報の構築発展、模倣、聴覚、触覚などを用いた遊び、及び他者との相互関係の経験 

【結果】側臥位までの寝返り、「やだ」等の発声、おもちゃあそび、笑顔も見られた。

【考察】呼吸や舌への介入で抱っこが可能。快刺激の経験、本人の表出をサインとしてやりとりを繰り返し感情表出が可能になったと思われる。

【倫理的配慮(説明と同意)】発表に関し家族の同意を得た。はるたか会会議で承認。