14:40 〜 15:30
[CS-04] 記憶の中の行為とメタラーニング
私たちの脳の中には,過去の経験が記憶として残されている.記憶を想起する際,脳の中では,神経の活動が生じるが,局在論に基づく活動に留まらず,多様な領域が横断的に活動していることが知られている(Särkämö et al., 2013).これは,記憶が周囲の状況や他者の存在という環境・文脈との不可分性を有しており,記憶に内在する様々な知覚や情動が共起されることを裏付ける一つの根拠となる.行為の想起においても同様の特性が推察でき,局所的な知覚の想起だけではなく,自伝的記憶の中の様々な表象と共に想起される表象であると考えることができる.
認知神経リハビリテーションの中のツールである行為間比較は,一連の介入プロセスに対して,行為表象を活用し,現在と過去の比較を行う.主には,1)行為の観察の場面において,現在の行為のエラーの自覚を促すため,2)介入の場面における認知課題に対し,回答に必要な認知過程を引き出すために用いられる.このアプローチは,行為表象に含まれる知覚や身体表象,注意の操作など認知過程が,行為の自覚や認知課題における回答の精度・反応速度を変え,結果として行為の改善に寄与するという臨床知見に基づいている.
しかし,臨床上,能動的に経験を有する行為表象を用いて,現実の課題に対処することが困難な症例を多数経験する.このような場面に遭遇した際,“なぜ行為表象の能動的な使用とその運用が困難なのか?” “使用する表象を「行為」から「記憶の中の行為」として展開した場合,療法士の関わり方に見つめ直す点はあるのか?” “記憶の中の行為の能動的な使用は,学習を促進するツールになりうるのか?”という疑問が浮かび上がる.本クリニカルセミナーでは,これらの疑問に迫り,臨床のアプローチに関して議論を推し進めたい.その議論の中から,本学術集会のテーマである「メタラーニング」(自律性の獲得に向けた学習プロセスの学習)と記憶の中の行為との関係性を見出していきたい.
認知神経リハビリテーションの中のツールである行為間比較は,一連の介入プロセスに対して,行為表象を活用し,現在と過去の比較を行う.主には,1)行為の観察の場面において,現在の行為のエラーの自覚を促すため,2)介入の場面における認知課題に対し,回答に必要な認知過程を引き出すために用いられる.このアプローチは,行為表象に含まれる知覚や身体表象,注意の操作など認知過程が,行為の自覚や認知課題における回答の精度・反応速度を変え,結果として行為の改善に寄与するという臨床知見に基づいている.
しかし,臨床上,能動的に経験を有する行為表象を用いて,現実の課題に対処することが困難な症例を多数経験する.このような場面に遭遇した際,“なぜ行為表象の能動的な使用とその運用が困難なのか?” “使用する表象を「行為」から「記憶の中の行為」として展開した場合,療法士の関わり方に見つめ直す点はあるのか?” “記憶の中の行為の能動的な使用は,学習を促進するツールになりうるのか?”という疑問が浮かび上がる.本クリニカルセミナーでは,これらの疑問に迫り,臨床のアプローチに関して議論を推し進めたい.その議論の中から,本学術集会のテーマである「メタラーニング」(自律性の獲得に向けた学習プロセスの学習)と記憶の中の行為との関係性を見出していきたい.