第23回認知神経リハビリテーション学会学術集会

講演情報

指定演題

口述発表

[DP] 指定演題①

2023年10月8日(日) 09:20 〜 10:05 第3会場 (B1F ギャラリー1)

座長:加藤 祐一(結ノ歩訪問看護ステーション)

09:20 〜 09:35

[DP-01] 運動器疾患に対する認知神経リハと徒手のハイブリットな介入について

*高石 翔1 (1. 川田整形外科)

運動器疾患患者が示す主な症状に、痛みがある。痛みは、メカニカルストレスによる炎症や筋スパズムに伴う血流障害によって生じる侵害受容性疼痛、神経の絞扼などの体性感覚神経系の異常によって生じる神経障害性疼痛、組織損傷がない場合に生じる痛覚変調性疼痛に分類される。痛覚変調性疼痛は、心理社会的因子や脳の可塑的変化によって生じる可能性がある(Bułdyśら2023)。このように痛みは、器質的疼痛と非器質的疼痛に大別できるが、複数のメカニズムが重複して痛みを引き起こすこともある(久保ら2021)。また長期的な痛みは、鎮痛の期待などにより活性化する背外側前頭前野の機能を低下させ(Apkarianら2004)、下降性疼痛抑制系の機能不全を生じさせるため(Yuら2014)、慢性痛患者は鎮痛効果が得られにくい可能性がある。
 認知神経リハビリテーションでは、身体受容表面の機能変質と、複数の感覚モダリティ間の整合性が失われたことにより痛みが生じるという仮説を立てており、情報の不整合を改善させることで行為を洗練化させ、痛みの改善を図る(ペルフェッティら2020)。認知神経リハビリテーションでは、神経系の機能不全によって生じる痛みを主な治療対象としているが、上述したように痛みは複数のメカニズムにより生じるため、認知神経リハビリテーション単独では治療が難しい場合があり得る。また、患者のもつリハビリ像と認知神経リハビリテーションとの乖離によって、鎮痛の期待が得られにくく、訓練と行為との関連性が構築できない症例を多く経験してきた。一方、徒手療法では血流障害や神経の絞扼といった末梢組織の器質的な病変を治療対象としており(大石2016)、短期的な鎮痛効果が期待できるため、初期の治療に用いやすい。
 病態に応じて認知神経リハビリテーションと徒手療法を使い分けることで、鎮痛効果が得られるとともに、認知神経リハビリテーションの導入がしやすくなり、訓練と行為との関連性の構築に寄与したため、治療コンセプトについて症例を交えて報告する。