10:45 〜 11:00
[DP-06] 行為間比較における「意識」の活用形態とプロフィール評価の再考
近年提唱された行動制御理論である「能動的推論」では、行為遂行のメカニズムを、「予測と結果の比較照合による外部対象の認識」ではなく、「行為遂行の最中における予測誤差の調整」として位置付けている。ここでは、脳神経系の離散的・連続的動員によ る変化率(強度)の調整メカニズムが提示されている(Friston 2017)。
認知科学における認識論的モデル(三人称的な認知)から行為論的モデル(一人称的な認知)への転換は、行為間比較の治療理論との相関を示す。特に、行為の創発に寄与する認知過程の活性化形態やプロフィール評価の根本的修正が必要となる。
「物理的差異の認識場面に認知過程を動員し、認知的差異の形成と行為の創発を促進する」といった認識論的モデルに準拠した従来の治療展開は方法論的誤謬である。また、従来のプロフィール評価における認知過程では、「対象の認識」に関わる顕在的活性化が重視されていた一方で、「行為の調整」に関する潜在的活性化やその評価方法が充分には理論化されていない。加えて、比較・関連付けといった認知機能は、エピソード記憶や意味記憶との離散的要素との相補的関係性を保持しつつも、行為の予測誤差の調整場面における作業記憶として、行為と連続的かつ潜在的に活用される必要がある。
セラピストは、「暗黙的比較」(プッチーニ 2021)の活用や、身体性認知を前提としたオートポイエティックシステムの概念を導入する(園田 2014)ことによって、患者の認知過程を、「物理的差異の認識」といった収束的形態ではなく、身体と環境そして現象学的領域との相互作用を考慮した「強度的差異の調整」といった拡張的形態で活性化することになる。
本発表では、行為の創発過程における認知過程の活性化形態(意識)を、「過去と現在の行為に附帯する強度的差異の類似化過程における顕在的・潜在的認知過程の二重の活性化」とした上で、プロフィール評価の再定式化を試みる。
認知科学における認識論的モデル(三人称的な認知)から行為論的モデル(一人称的な認知)への転換は、行為間比較の治療理論との相関を示す。特に、行為の創発に寄与する認知過程の活性化形態やプロフィール評価の根本的修正が必要となる。
「物理的差異の認識場面に認知過程を動員し、認知的差異の形成と行為の創発を促進する」といった認識論的モデルに準拠した従来の治療展開は方法論的誤謬である。また、従来のプロフィール評価における認知過程では、「対象の認識」に関わる顕在的活性化が重視されていた一方で、「行為の調整」に関する潜在的活性化やその評価方法が充分には理論化されていない。加えて、比較・関連付けといった認知機能は、エピソード記憶や意味記憶との離散的要素との相補的関係性を保持しつつも、行為の予測誤差の調整場面における作業記憶として、行為と連続的かつ潜在的に活用される必要がある。
セラピストは、「暗黙的比較」(プッチーニ 2021)の活用や、身体性認知を前提としたオートポイエティックシステムの概念を導入する(園田 2014)ことによって、患者の認知過程を、「物理的差異の認識」といった収束的形態ではなく、身体と環境そして現象学的領域との相互作用を考慮した「強度的差異の調整」といった拡張的形態で活性化することになる。
本発表では、行為の創発過程における認知過程の活性化形態(意識)を、「過去と現在の行為に附帯する強度的差異の類似化過程における顕在的・潜在的認知過程の二重の活性化」とした上で、プロフィール評価の再定式化を試みる。