日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

関連学会合同シンポジウム

関連学会合同シンポジウム10 生体親和性材料の最新知見 (日本整形外科学会)

2020年11月27日(金) 10:00 〜 11:30 第7会場 (2F J)

座長:松本 守雄(慶應義塾大学医学部 整形外科学教室)、山田 宏(和歌山県立医科大学 整形外科学講座)

[CSP10-3] プラズマ技術を用いた骨形成を有するアミン人工骨の開発

海渡貴司1, 小玉城1, 浜口智志2 (1.大阪大学 医学部 整形外科, 2.大阪大学 工学研究科 アトミックデザインセンター)

超高齢社会である我が国の骨折治療や骨再生治療では、自家骨の骨再生能力および骨質の低下などの問題から人工骨の需要が拡大している。既存人工骨は、均一性および量の担保など利点を多く有するが、自家骨が有する生理活性能力がないことが弱点であった。我々はプラズマ技術を用いて多孔体人工骨の表面および内部にアミノ基を付与することで、生理活性能力(骨形成能)を付与することを考案した。ハイドロキシアパタイトやbeta-TCP等とアミノ基の直接的化学的に結合させることは不可能であるため、混合ガスの改良により薄い炭素膜を人工骨表面にさせることでアミノ基を安定的に人工骨表面に付着させることに成功した(特許出願中)。付着したアミノ基は、長期保存やオートクレーブ滅菌後も安定して人工骨表面に存在することを確認している。In vitro検証では、親水性・細胞遊走能・細胞接着・骨芽細胞分化(ALP活性)への効果を検証し、in vivoではラット頭蓋骨欠損モデルにおける骨欠損修復効果を検証した。親水性の検証では、プラズマ処理により人工骨の親水性は促進し、滴下した細胞が人工骨内部まで浸潤することが確認された。また、細胞接着および骨分化がプラズマ処理により著明に促進することが示された。頭蓋骨欠損モデルを用いた検証では、プラズマ処理により人工骨内部への骨新生・人工骨とホスト骨界面の骨癒合の促進効果が確認された。以上の結果から、プラズマ技術を用いた人工骨のアミン修飾は人工骨に骨形成能を付与することが可能であり、アミン修飾人工骨は既存人工骨使用における諸問題を解決する可能性を有する医療材料となることが期待される。現在、市販製品製造プラズマ装置を用いた最終条件設定を行っており、早期の医療材料としての承認を目指している。本シンポジウムでは、コンソーシアムの構築・技術の開発から実用化へのプロセスについてもお話したい。