[CSP14-3] 末梢神経の疼痛に対するエコーガイド下intervention
エコーを運動器に用いるという発想が、我々の診療スタイルを大幅に変化させた。単純X線、MRIと同様にあくまでも一つのツールに過ぎないが、エコーはその他の画像診断装置と異なり、静的な画像だけでなく、リアルタイムに動きを捉えることができる。それは病変部の不安定性だけでない。神経の動き、関節の動きなど今まで想像で診てきたものが視覚化される。その中でも、エコーの一番の魅力は、その場で診断し治療ができることにある。超音波ガイド下に注射を行うことで、痛みの原因の探索と治療が同時に可能となる。従来の超音波ガイド下注射にはステロイドを用いた抗炎症を目的としたものから、リドカインを用いたブロック注射があり、これらを超音波ガイド下で行うことで的確な注射が可能になった。頸椎神経根においては、椎骨動脈を観察しながら注射できるため、明らかに透視下のブロック注射よりも安全かつ正確に注射ができる。しかし、近年では局所麻酔薬を用いなくても、生理食塩水などの薬液で疼痛が改善することが明らかになっている。特に末梢神経に着目し治療することが有用と考えており、nerve Hydrorelease(海外ではnerve Hydrodissection)が整形外科分野では注目されている。このHydroreleaseを用いると、時に今まで分からなかった痛みの原因を捉えることができる。診断としてだけでなく治療としても劇的な効果をもたらす。直径1cmを超す神経から,1mm程度の神経まで治療のターゲットは幅広い。最近では外側前腕皮神経などの1mmに満たない皮神経などもエコーで見つけることが可能であり、全身の痛みの原因を特定、治療ができる。今回はこれらの症例を中心に紹介する。エビデンスの蓄積の最中であるが、有用性は明らかであり、今後さらなる研究が期待される。