[CSP14-4] 整形外科手術後の遺残疼痛に対する超音波診療
近年整形外科手術は骨折治療、人工関節、関節鏡手術、脊椎手術と多岐に渡っている。低侵襲手術も多く行われる中、遺残疼痛(persistant post-surgical pain)は依然として術後患者を悩ませている原因の一つである。過去の文献を遡ると整形外科手術後の遺残疼痛を訴える割合は40%を超えるとの報告もある。その疼痛に対して整形外科医はレントゲン、CT、MRIで問題がないと言って漫然と鎮痛薬を処方していることも少なくない。そもそも患者自身が手術担当医に対し術後の疼痛を訴えづらく思っているのかもしれない。そのような遺残疼痛に対し痛みの部位、性状を正確に評価し支配する末梢神経に着目すると、末梢神経障害の関連が強い症例を多く経験する。これらの末梢神経障害の機序として受傷創部、手術創による瘢痕組織、それによる神経の滑走性低下、関節可動域の変化やアライメント変化を始めとした神経周囲の環境変化による末梢神経症状が考えられる。超音波を用いhydrorelease/hydrodissection、神経ブロック、パルス高周波療法(PRF)を使用することで症状の改善を得られている。本発表では実際の症例を例に挙げながら実臨床での治療効果、また効果を得られるメカニズムを考察していき末梢神経障害、治療に対する理解を深めていく。