[CSP22-1] てんかん関連焦点とネットワークの同定と外科治療への応用
てんかん外科治療では焦点診断が最も重要となる。第一にてんかん症候学、次に電気生理学的モニタリングによるてんかん焦点の検出である。焦点同定目的で頭蓋内電極による脳皮質電位(ECoG)の高周波律動(HGA)の時間的-空間的な広がりを捉えることに注目されている。複数の焦点からのてんかん関連異常活動は脳内ネットワークを介して広範に広がる機序を把握することも重要である。本発表ではECoGを用いててんかん焦点を検出した後、焦点刺激による機能的関連野に現れる皮質-皮質誘発電位(CCEP)を計測して、てんかん関連脳機能ネットワークを可視化した。対象は頭蓋内電極留置した側頭葉てんかん12例、前頭葉てんかん5例である。頭蓋内電極留置後ビデオ-脳皮質電位(ECoG)モニタリングを行い、発作時ECoGより発作起始部(焦点)を同定した。その後脳表への発作波広がりパターン、さたに焦点皮質を電気刺激により機能的結合部位をCCEP計測により同定した。17症例中10症例(59%)にCCEPを焦点と離れた領域に3極以上認めた。前頭葉てんかんでは、反対側の前頭葉の対象部位に認めていたが、潜時は30-100msecの2峰性のCCEPを検出した。側頭葉てんかんでは、内側側頭葉から側頭葉外側、または前頭葉下外側、側頭葉後方底部にCCEPを認め、複雑なCCEPの発現パターンを呈してた。最も強いHGA活動のある焦点のみに加え、その切除前にネットワーク離断を行いCCEPの消失を認めた。難治性てんかん外科治療の治療成績の向上に寄与できると期待できる。