[CSP8-4] うつ病患者と健常者におけるtDCS効果検証 -タスクスイッチング課題を中心に-
うつ病患者へのtDCSの抗うつ効果に関しては一定のコンセンサスを得つつある(Brunoni et al., 2017)が、アウトカムの設定やその効果量に関しては未だ評価は分かれている。その要因として、脳機能の状態の個人差により、tDCSの効果発現は大きく異なり、刺激部位を含めたその条件設定に注意が必要である点が挙げられる。近年、うつ病の臨床では、認知機能の低下の存在が注目されている。我々はうつ病患者、健常者の二群にtDCS刺激(anode:F5部位(脳波10-10法)とAFz部位にcross-over designで刺激、それぞれ一回ずつ。cathode:左肩。1mA、20分間)を行い、Wisconsin card sorting test改良版(Konishi et al., 2005)を用いてタスクスイッチング課題への反応時間を検討した(UMIN000015046)。また、操作的診断に依らざるをえないうつ病診療のなかで、客観的な脳機能状態の評価に基づくtDCS効果発現の予測は、今後のtDCSの臨床応用の視点から鑑みると重要である。そのため、我々のtDCSによる脳波LOREAT解析による効果予測(Nishida et al., 2019)の報告を交えながら、薬物療法などを含めた抗うつ治療の効果予測に関してのまとめを行う。最後に、現在我々は、tDCS刺激時の状態により効果発現に差異を生じる、という仮説に基づいて、健常者を対象とした検証試験を行なっており、結果を報告する(jRCTs052180043)。今後tDCSの臨床利用には、個別の状態に着目することで、よりパーソナライズドされた研究の知見が集積され、臨床へ応用されることが望まれる。シンポジウムの中では、自施設の研究を交えながら、今後のtDCSによる効果検証に関する提言を行いたい。