[P14-10] 注察妄想が発作周辺期精神症状であった脳炎後てんかんの一例
症例は66歳女性で独居. 3歳時に日本脳炎に罹患しA病院で加療され, 以来,精神障害として同院で多剤投与されていたが, 月単位の複雑部分発作があった. 57歳時からB病院に通院し両側海馬萎縮が判明していた. 薬剤調整が続けられ, 63歳時はCBZ, LTG, CLBで発作は一時消失した. その後は当院脳神経内科に通院し同処方を継続したが, 月単位の発作が再発した. その頃に注察妄想による異常言動が自宅近隣で問題になっていると保健師からの報告があった. まず遠方在住の姉に自宅での本人の様子を確認するようお願いした. 来院日には脳神経内科と精神科の併診とした. 診察室内で注察感の訴えはなく, 明らかな思考障害はなかった. 注察妄想が連日続いた時の脳波では右側頭部優位に突発性速波が頻発していた. 以上から発作周辺期精神症状が疑われた. CLB増量とLEV導入で発作と異常言動は消失した. 適時の脳波記録と院内/院外の連携が役立った.