[P14-17] 側頭葉底面言語野の機能・解剖学的特徴:標準脳上での密度分布解析
【目的】側頭葉底面言語野(BTLA)の密度分布から機能解剖学的特徴を明らかにする. 【方法】左側頭葉てんかん患者12人の術前に慢性硬膜下電極を留置し, 高頻度電気刺激マッピングで同定したBTLA71電極(2-13電極/人)を標準脳に投射した. 各電極の言語課題スコアを非言語63電極を含む観測密度で除算し, その分布を検討した. 【結果】BTLAは障害課題が多い順に1.紡錘状回(FG)・下側頭回(ITG)の前方融合部, 2.FG前~中部, 3.ITG外側に集簇した(側頭極から各々36, 50, 60mm). 視覚入力課題はFGの前後方向に広く障害され, 最前方1.は物品呼称が文章音読より強く, 単語読みでは漢字が仮名より強く障害された. 一文の口頭指示は1.と3.で障害された. 【結論】FG-ITG前方融合部はBTLAの中核で, 視覚聴覚入力とも意味理解が障害された. BTLA後方で視覚入力課題はFG, 聴覚入力課題はITG外側に機能分担した. 側頭葉底面前方がモダリティに依らない意味記憶中枢と考えられた.