[P14-4] 未治療の特発性全般てんかんにおける覚醒時脳波での棘徐波検出確率を数学的理論で推測してみた
【目的】全般性強直間代発作(GTC)を発症した若年患者のてんかんの診断に悩むことがある。30分程度の外来覚醒時脳波では異常がないこともしばしばである。本研究では特発性全般てんかん(IGE)において、覚醒時脳波での棘徐波検出確率を数学的に算出した。【方法】GTCを経験した未治療のIGE患者8例の長時間脳波記録を解析した。【結果】覚醒時脳波における棘徐波出現頻度(λ)は平均0.57/時間であった。棘徐波が次に出現する時間tがランダムで指数分布に従うとして、時間(t=x)にそれが出現する確率密度は、関数f(x)=λe-λxと表わされる。さらに、時間t=xまでに一度でも棘徐波が出現する確率はその積分値で、F(x)=1- e-λxとなる。よって、30分記録の覚醒時脳波で棘徐波が観察できる確率は24.7%と理論上算出された。【結論】比較的異常の見られやすいIGEであっても、外来覚醒脳波記録のみで診断確定するには最大4回の記録が必要と推定された。