日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

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一般演題ポスター

一般演題ポスター てんかん

[P14-4] 未治療の特発性全般てんかんにおける覚醒時脳波での棘徐波検出確率を数学的理論で推測してみた

小野智憲1, 本田涼子1, 渡邊嘉章1, 池田憲呼1, 里龍晴2, 犬塚幹3, 松尾光弘4, 馬場史郎5, 内田大貴6, 馬場啓至7 (1.国立長崎医療センター てんかんセンター, 2.長崎大学 小児科, 3.佐世保中央病院 小児科, 4.長崎県こども医療福祉センター 小児科, 5.長崎大学 脳神経外科, 6.佐世保総合病院 脳神経外科, 7.西諌早病院 てんかんセンター)

【目的】全般性強直間代発作(GTC)を発症した若年患者のてんかんの診断に悩むことがある。30分程度の外来覚醒時脳波では異常がないこともしばしばである。本研究では特発性全般てんかん(IGE)において、覚醒時脳波での棘徐波検出確率を数学的に算出した。【方法】GTCを経験した未治療のIGE患者8例の長時間脳波記録を解析した。【結果】覚醒時脳波における棘徐波出現頻度(λ)は平均0.57/時間であった。棘徐波が次に出現する時間tがランダムで指数分布に従うとして、時間(t=x)にそれが出現する確率密度は、関数f(x)=λe-λxと表わされる。さらに、時間t=xまでに一度でも棘徐波が出現する確率はその積分値で、F(x)=1- e-λxとなる。よって、30分記録の覚醒時脳波で棘徐波が観察できる確率は24.7%と理論上算出された。【結論】比較的異常の見られやすいIGEであっても、外来覚醒脳波記録のみで診断確定するには最大4回の記録が必要と推定された。