[P15-4] メチルフェニデート使用後に統合失調症症状が顕在化したナルコレプシー1型の一例
【背景】過眠を主訴とする若年者には,精神疾患ハイリスク者を含む可能性がある.今回ナルコレプシーの診断でメチルフェニデート(MPD)使用後に統合失調症症状が顕在化した一例を経験した.【症例】20歳,男性.小学生時より日中の眠気を自覚し,高校生時には幻聴,情動脱力発作が出現した.X年にナルコレプシー1型の診断でMPDの内服を開始したが,効果は不十分であった.X+2年,通常用量以上のMPDを内服後,幻聴が活発化し入院となった.HLA,オレキシン値からナルコレプシーと診断し,統合失調症も併存すると考えた.抗精神病薬の使用で幻聴は改善が得られ,現在はモダフィニルと抗精神病薬を併用し,通学しながら外来通院を継続している.【考察】本症例は,ナルコレプシーの診断時点で幻聴を認めていたが、症状が顕在化した経緯には,MPD使用が関与していると考えた.若年者、特に幻覚・妄想等の精神症状を有する者においてMPD使用は慎重を期す必要がある.