[P15-7] レム睡眠行動障害に類似の症状をきたした睡眠時無呼吸症候群の1例
【序論】レム睡眠行動障害(RBD)のスクリーニングとして特異度の高い質問票が、偽陽性を示した睡眠時無呼吸症候群の1例を呈示する。【症例】78歳男性。歩行時の不安定性と突進を主訴に受診。MoCA 23/30。嗅覚(オープンエッセンス)6/12(cut off 6)。RBDスクリーニング質問票(RBDSQ-J)8/13(cut off 4.5)。睡眠中の不快な夢(蛇に追いかけられるなど)、激しい動き(殴る、蹴るなど)がみられた。ポリソムノグラフィー(PSG)はAHI 71.2、覚醒指数52.8を示した。REM睡眠中、ほぼ半数の無呼吸・低呼吸イベントで覚醒反応を認めたが、REM sleep without atoniaは見られなかった。【考察】RBDSQ-J はRBDの診断を支持したが、PSGの所見から本例のRBD様症状は、レム睡眠中の無呼吸・低呼吸イベントでの覚醒反応によるものと考えられた。本例の病態に、慢性的で反復的な酸素飽和度低下に伴う脳幹機能の損傷が関与しているかもしれない。