[P20-4] 術中脊髄モニタリングに関するジレンマを感じた頸髄髄内血管芽腫の一例
術中電気生理モニタリングは神経合併症リスクのある脊髄脊椎手術において標準的検査となっているが,髄内病変手術においては,しばしば偽陽性もみられ,また,術直後の運動麻痺発生を予測したとしても永続的な麻痺の検出には役立たない場合もある.今回,頸髄髄内血管芽腫手術において,摘出途中に右上肢末梢および右下肢の経頭蓋MEPが完全に消失し手術終了時まで回復を認めなかった中年女性症例を経験した.この症例の術中所見,手術継続についての判断,術後経過について報告する.髄内腫瘍摘出において,腫瘍摘出の完成度と神経障害のリスクは相対的な面もあり,腫瘍の諸因子や患者の状況,インフォームドコンセントなどにより方針が決定される.術中脊髄モニタリングは手術操作をする上で,その中断や中止にもかかわる重要な指標となる.しかしながら,髄内病変の摘出術においてはその判定に苦慮する場合もあり,今後さらなる症例の検証が必要である.