[P22-4] 腋窩多汗症に対するA型ボツリヌス毒素局注療法後に広範な筋無力症状を認めた1例
【背景】A型ボツリヌス毒素製剤は2012年に重度の原発性腋窩多汗症への効能が追加承認されたが、これによるボツリヌス中毒は本邦では未報告である。今回、腋窩多汗症に対するA型ボツリヌス毒素局注後に広範な筋無力症状を呈しボツリヌス中毒と考えられた1例を報告する。【症例】50歳女性。腋窩多汗症に対するA型ボツリヌス毒素50単位の局注翌日から嚥下障害が出現し、食事困難となり入院した。眼球運動制限、頸部・両上肢近位優位の筋力低下と易疲労性も認めた。神経反復刺激試験で低頻度刺激での漸減現象は認めず、抗AChR抗体・抗MuSK抗体は陰性だった。複合筋活動電位振幅は正常で、高頻度刺激で75%の振幅増高を認め、単線維筋電図では20ペア中1ペアのみでjitter & blockingを認めた。無治療で症状は徐々に改善し、ボツリヌス中毒を疑った。【結論】腋窩へのボツリヌス毒素局注でも、嚥下・眼球運動障害を伴うボツリヌス中毒が出現しうる。