[P25-27] 運動観察における観察対象の範囲の違いにより脊髄前角細胞の興奮性は異なる
【目的】右母指の運動を観察課題とし、映像として提示する範囲が異なる際の脊髄前角細胞の興奮性変化についてF波を用いて検討した。【方法】 健常者12名(平均年齢27.5±5.8歳)を対象とし、座位で右正中神経刺激により右短母指外転筋から安静時のF波を導出した。4分間の休息後、パソコン画面で映像を観察させながら再度F波を1分間測定した。観察課題は、右母指の橈側外転・尺側内転運動とし、母指のみを映した映像(条件A)と手全体を映した映像(条件B)の2条件とした。検討項目は振幅F/M比とした。【結果】 条件Bの振幅F/M比は、安静時と比較し観察時で有意に増大した。【考察】 条件Aは母指のみを映しているため、対象者は明確に関節運動を捉えることが困難であったと考える。一方、手全体を映している条件Bでは、母指の橈側外転・尺側内転運動が生じていることを認識し、対応する脊髄前角細胞の興奮性が増大したと推察する。