日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

一般演題ポスター

一般演題ポスター 脳機能画像(fMRI・NIRS等)

[P3-3] 人工的な身体錯覚の転移誘発による脳律動の変化

近藤美咲1, 原正之2, 安部レオ3, 宮崎悠介3, 菅田陽怜3 (1.大分大学大学院 福祉健康科学研究科 健康医科学コース, 2.埼玉大学 理工学研究科, 3.大分大学 福祉健康科学部 理学療法コース)

【目的】人工的に身体錯覚の転移を誘発した際のヒトの脳律動の変化について明らかにすることを目的とした。
【方法】ディスプレイ下に被験者自身の手を見えないように配置した状態で、ディスプレイに表示された仮想の手を異なるパターンで動かす3つの課題(観察課題、同期課題、非同期課題)を実施し、脳波及び筋電図を計測した。また、各課題後には錯覚に関するアンケートを実施した。解析では、β帯域の脳波を抽出後、一次運動野のβ帯域の脳律動のパワーの変化を算出した。
【結果】同期課題において、一次運動野の脳律動パワーの平均値とアンケート結果に正の相関が見られ、錯覚が生じにくい人には事象関連脱同期(ERD)が、錯覚が生じやすい人には事象関連同期(ERS)が出現していた。
【結論】錯覚の転移により運動関連領域における脳律動に変調が見られた。ERSとGABAには相関があるとの過去の報告から、GABAによる抑制機構が本現象に関連していると考えられた。