[P8-20] F波最小潜時に対する年齢と身長の影響―多数例による検討―
要旨:F波は神経伝導性・脊髄興奮性の評価に有用な検査法であるとされているが、身長や年齢の影響を受けると考えられ正常値が問題となる。今回は多数例での身長と年齢の影響を検討した。対象:2011年4月から2020年4月までに、当院で神経伝導検査を行い「異常なし」と判定された連続1070例(平均54.7歳、男性41%女性59%)の正中、尺骨、脛骨神経。方法: 60歳未満と60歳以上の各群での身長の影響、150cm代と160cm代の2群での年齢の影響をみてF波最小潜時に対する線形性を検討した。そのうえで全例の重回帰分析をおこなった。結果:身長、年齢についてはいずれも有意な一次回帰を認めた。全例の重回帰分析では正中0.071×身長+0.01×年齢+13.2、尺骨0.068×身長+0.01×年齢+13.6、脛骨0.157×身長+0.023×年齢+18.8 msとなり、身長の影響は年齢の10数倍みられた。結語:F波は身長と年齢のいずれの影響も受けるが、年齢の影響は相対的に小さいと考えられる。