50th Memorial Annual Meeting of Japanese Society of Clinical Neurophysiology (JSCN)

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シンポジウム

シンポジウム10 臨床生理検査を用いた頭痛患者の検討

Thu. Nov 26, 2020 4:30 PM - 5:30 PM 第4会場 (1F C-1)

座長:立花 久大(西宮協立脳神経外科病院 脳神経内科)、辰元 宗人(獨協医科大学病院 医療安全推進センター)

[SP10-2] NIRSを用いた片頭痛患者の脳血流評価

渡邉由佳1,2, 田中秀明2, 齋藤正子3, 平田幸一2 (1.獨協医科大学 日光医療センター 脳神経内科, 2.獨協医科大学 脳神経内科, 3.獨協医科大学 先端医療技術支援センター 臨床共同利用室)

近赤外線分光法(Near-Infrared Spectroscopy; NIRS)は近赤外光を頭部表面から照射し、光の吸収量の変化から脳内の血液中の酸化・還元ヘモグロビン(oxy・deoxy hemoglobin)の変化を計測して、頭皮から2~3cmの血流変化を測定する装置であり、てんかんの焦点検索や失語症などの高次脳機能障害、内頚動脈外頚動脈吻合術の血流評価などに、幅広く応用されている。NIRSは空間分解能や深部到達性の点でPETやfMRIに劣るものの時間分解能が高く、連続記録が可能である。また、頭皮に近い硬膜動静脈の血管の拡張と拍動性の成分を有するとされる片頭痛において、片頭痛の病態の解明や治療効果の客観的なモニタリングの手段としてNIRSはよい適応になると考え検討を試みた。頭痛で来院し、片頭痛と診断された発作中患者に、NIRSと皮膚レーザー血流計を装着し、スマトリプタン3mgを皮下注投与した。スマトリプタン投与後からoxy-Hbと皮膚血流の低下がみられた。スマトリプタンを投与した全例でその後、頭痛は改善した。片頭痛に特徴的な何らかの血流変化があることは古くから知られているが、それを視覚的にとらえ得る手段は乏しい。NIRSは、片頭痛の病態に重要な硬膜動静脈周辺の血流評価を連続的にとらえる方法として有効であると考えられた。