第97回日本産業衛生学会

セッション情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション 産業保健に関わる政策法制度の未来を見据えて・・・自律管理へ向けて必要なもの

2024年5月23日(木) 13:40 〜 15:40 第1会場 (広島国際会議場 B1F フェニックスホール)

座長: 梶原 隆芳(株式会社梶原産業医事務所), 上原 正道(ブラザー工業株式会社 健康管理センター)

近年、労働者を取り巻く環境は急速に変化し、それに伴い産業保健における課題やニーズも多様化している。メンタルヘルス対策や働き方改革、高齢労働者の安全衛生管理、女性の就業率の増加、テレワークの拡大、化学物質の自律管理などの多岐にわたる課題に対応するには、従来の法令遵守に依存した活動だけでは限界が生じている。このような背景から、事業者自らが対策や措置を自律的に決定していく自律管理型のアプローチが重要性を増してきている。||自律管理のメリットが存在する一方で、デメリットも考慮する必要がある。専門的な知識や人材が不足していると、正確な情報の収集やリスク評価が難しくなる。また、経済的負担や法令遵守の不確実性を生じることも想定され、産業保健に対する事業者の意識改革も急務である。さらに、自律管理の実効性を担保するためには、監督行政の強化も不可欠であると考えられる。すなわち、事業者による自律管理を支援し、産業保健の実効性を確保する仕組みの強化が求められる。特に、労働者数50人未満の小規模事業場にも産業保健サービスを展開するためには、助成金の支給を含めた適切な支援や情報提供が必要となる。||当パネルディスカッションでは、産業医部会、産業保健看護部会、産業衛生技術部会、産業歯科保健部会の4部会それぞれの立場から、自律管理に向けた課題と対応、専門家としての役割などについて発表を行う。これらの演者の視点を総合的に考え、持続可能な産業保健体制を構築するための具体的な施策や方針についての総合討論を行う。多様な課題への対応を追求しつつ、産業保健の未来に向けた新たな展望を模索することを期待する。|