橋本 晴男1 (1.橋本安全衛生コンサルタントオフィス)
セッション情報
産業衛生技術部会フォーラム
産業衛生技術部会フォーラム 化学物質の自律的管理の実践-現場でのリスクアセスメントと測定-
2024年5月25日(土) 16:00 〜 18:00 第3会場 (広島国際会議場 B2F ダリア1)
座長: 奥田 篤史(株式会社富士清空工業所), 森 洋(秋田環境測定センター株式会社)
2022年5月31日に交付された「労働安全衛生規則等尾一部を改正する省令(厚生労働省令第91号)」により「化学物質による労働災害防止のための新たな規制」が導入され,2024年4月より全面施行された。それに伴い,リスクアセスメント(以下,RA)対象物質の拡大や濃度基準値の設定が行われている。化学物質のRA制度は2016年に義務化されていたが,今回の政省令改正にともない2023年4月27日付で「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針の一部を改正する指針(基発0427第3号)」が公示され,本年4月1日より適用された。本フォーラムではこの中の「有害性リスクアセスメント」について取り上げる。| RAの対象物質は667物質(2023年8月30日現在)あり,今後は約2900物質まで増えるとされている。今回の政省令改正では,これらの物質に対して①濃度基準値以下のばく露にすること,②濃度基準値が設けられていない物質については,そのばく露を最小限とすること,という「ばく露」の管理が求められた。また,RAの結果や作業環境測定の結果に基づくばく露防止措置として,呼吸用保護具の適切な選択と使用が明記された。| RAの実施において,ばく露の程度を正確に求めることは重要となるが,その方法は複数ある。例えばCREATE-SIMPLEや,実際に測定をおこなって評価する方法などである。それぞれの評価方法の特徴を理解することは,精度の高いRAを行うために必須となる。しかし,多くの事業場では,複数のRA対象物質を単体や混合物として取り扱っており,全てに対して精緻なRAを実施することは現実的ではない。そのため,精緻なRAは「リスクがよく分からない」作業に絞る必要性が生じる。明らかにリスクが高ければRA実施以前に改善に着手するべきであるし,明らかにリスクが低ければRAの優先順位を下る方が理にかなっている。| 本フォーラムでは,橋本晴男先生にCREATE-SIMPLEの最新情報も踏まえたばく露測定から健康管理までの連携について,貴志孝洋先生にRAの実務について,東久保一朗先生にRA結果から呼吸用保護具を選定する際に重要となるばく露測定事例についてご紹介いただく。さらに,中原浩彦先生から昨年末に技術部会より公開された「化学物質の個人ばく露測定ガイドラインダイジェスト版」についてご紹介いただく。
貴志 孝洋1 (1.筑波大学)
東久保 一朗1 (1.中央労働災害防止協会)
中原 浩彦1 (1.NAOSHコンサルティング)