第97回日本産業衛生学会

セッション情報

産業歯科保健部会研修会

産業歯科保健部会研修会 サイエンスに基づく歯科疾患予防~国民皆歯科健診を見据えて~

2024年5月24日(金) 11:10 〜 12:10 第5会場 (広島国際会議場 B2F コスモス1)

座長: 尾崎 哲則(日本大学)

 産業保健と歯科の法的根拠のあるかかわりは、有害物質取り扱い事業場における歯科医師による特殊健診と旧THPの保健指導における口腔保健など非常に限られたものでありました。その中で、2018年に特定健康診断の標準的な質問項目に歯科関連項目が入り、さらに後期高齢者医療制度への支援金に関わるインセンティブとして歯科保健活動が入るなど、医療保険の保険者を対象に、いくつかの改正がなされました。さらに、2020年以降、THP指針の改正に伴い5つめの項目として口腔保健指導も明記されたことや、産業保健における歯科関連の通達等がなされておりました。| さらに昨年には、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2023で、歯科に関しては、「生涯を通じた歯科健診(いわゆる 国民皆歯科健診)に向けた取組の推進」などが示されました。従来より、歯科保健は、乳幼児期から学童期を経て高齢者まで、全てのライフステージで関わっていますが、働く世代に対しての歯科保健は、特に法令によって規定された歯科保健事業は、前述した特殊検診と特定年齢を対象とした市町村が行う「歯周疾患検診」のみで、ほとんど実施されておらず、多くの課題が山積しています。| このような中で、産業医や産業看護保健職をはじめ産業保健に関わる多くの方から歯科への関心が非常に高まっていると感じております。| そこで、今回は、岡山大学名誉教授の森田学先生に、先生が長年関わってこられた集団口腔保健管理から、イメージではなく、サイエンスに基づいた国民皆歯科健診についての方向性や課題について、次いで、先生が予防歯科診療で得られた経験、そしてこれらの歯科保健事業が成功するために必要である歯科衛生士でありますが、この歯科衛生士の不足などについてお話しして頂く予定です。| 多様性の時代における産業保健の現場で「歯科」が期待される役割を果たすために、どのように産業歯科保健活動実践されているかあるかについて、多くの産業保健の関係者の皆さんに知ってただくのみならず、今研修会を通じて、産業保健のみならず各保健事業での歯科保健活動の多様な取り組みについて共通認識を持っていただき、「歯科」を含めた保健活動へと繋がることを願います。|